京島三丁目の路地でネコとすれ違う
東京都墨田区の京島は、東京大空襲で大半が焼失した下町にあって、奇跡的に焼け残った地区である。
なかでも私の母の実家がある三丁目は、昔ながらの裏通りや路地が残り、初めて来た人は歩いているうちに方向感覚を失い、道に迷うこと必定である。
上の写真は、路地が裏通りを横切るところにある地面の表記である。
確かに、この表記がないと、地元の人でなければ、こんなところに路地があるとはわからないだろう。
もっとも、この裏通りはすぐに突き当たるため、地元の人以外はあまり通ることはない。
ある日のこと、この勝手知ったる路地を歩いていると、一匹の猫と遭遇した。
彼または彼女は、こちらをじっと見てニャアと鳴く。
勝手知ったるとはいえ、今は都内の別の場所に住む私である。ここは、地元に住む彼または彼女に道を譲るのがよいと考えた。
本当はバッグの中にあるカメラを出したかったのだが、怯えるといけない。手に持っていたスマホでそっと撮ったのがこの一連の写真である。
脅かさないように、狭い路地の端に寄って、彼または彼女がすれ違える空間をつくった。
すると、空いた空間をささっと走り抜け、こちらを振り向いてニャア。
お礼のことばなのだろうか。
本当はそのまますれ違って終わりになるはずだったが、ちょっと猫のあとをつけてみた。
すると、彼または彼女は、最初の写真の裏通りに出ていく。
これは画になると、スマホを構えてその後ろ姿を撮ろうとしたときのことだ。
気配を感じたのか、こちらを振り向くではないか。
そして、「なんだまだいるのか」とばかりに、また一声ニャアと鳴いたのであった。
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前世は人間だったのではないかと思うほどの猫でした。
地元の人は高齢者が多いのですが、ここにきて最寄りの駅周辺が再開発されて新住民が増えたり、商店街の賑わいを取り戻すために若い人たちが頑張っているので、ちょっと先行きが明るくなってきました。
投稿: 部屋主 | 2021-06-14 17:57
なかなかコミュニケーション力の高い猫ですね。
この地域の住民は年齢層が高いのでしょうか。
投稿: nebbiolo | 2021-06-14 14:15