アルファマの路地をゆく路面電車
鉄道好きにとって、リスボンと聞けばすぐに路面電車(トラム)を思い浮かべるほど、この町の電車は世界中に知られている。
とくに、町の東側にあるアルファマ地区と西側にあるバイロ・アルト地区を結ぶ28系統は、昔ながらの小型の車両が走っていて大人気。アルファマでは、中心部のやや北側を通っているのだが、こんな狭い裏通り──というよりも路地によく線路を敷いたものだと感心する。

1981年にリスボンに来たときも、路面電車のことは知っていたから、このあたりをぶらぶらするついでに写真を撮っていた。そこで、これもまた今回、定点比較写真をしようと思ったのである。
下の写真は、複線の線路がカーブする地点だが、曲がり角で道幅が狭いために、一方の線路が他方に割り込んでいるのがわかる。専門用語で「ガントレット」と呼ばれる方式で、もちろんここで両側から同時に電車がやってきたら正面衝突してしまう。
それを避けるために、当時は1日じゅう係員が立っていて、衝突しないように電車に向かって手で信号を出していた。
左側の写真の左端あたり。木の下に2人立っているのだが、その人が手信号を出している。
棒の先につけている丸い板は、片面が赤、もう片面が緑になっていて、そのどちらかを運転士に向かって見せるわけだ。
さすがに、今回行ってみたら自動信号に変わっていた。

しかも、信号は500mほど先のもう1つの信号と連動していて、その間の区間が交互通行になっているのだ。
つまり、電車だけでなく自動車もまた、何分かおきかに一方通行になるのであった。
下の写真は、ガントレットを撮った場所から180度振り向いて撮ったもの。
線路はいったん複線に戻っているが、さらにその先で単線になっている。
運悪くここで両側から電車が出くわしても、ここですれ違うことができそうだ。
それにしても、周囲の情景がほとんど変わっていないのに驚く。


さらに進んでいくと、本当に建物すれすれのところを電車が通っていく場所がある。
それが下の写真の区間である。
左が1981年の写真だが、このときは電車が通過するときに、建物にぴったりと張りついてやり過ごした記憶がある。写真に写っている女性も同様だった。
ファドの歌詞に出てきそうな趣のある女性で、今回もそんな人が歩いてこないかなと待っていたのが、残念ながらそううまくはいかなかった。

不思議なことに、今回は電車が通過してもスペースに余裕があった。
「不思議だな。昔の記憶はいいかげんだったのか」
そう思ったのだが、家に帰って写真をくらべてみてわかった。
左側の建物は建て替えられていたのである。何十センチかセットバックしたおかげで、歩道に余裕ができたことがわかった。

最後の写真は、交互通行の反対側の信号機がある地点である。電車と自動車が青信号を待っているところだ。
電車は次から次へとやってくるので、このあたりはいくらいても飽きない。
そして、乗客の半数以上は観光客のようである。
地元の人にとっては迷惑かもしれないが、やはり乗っていても楽しい。
もちろん、この区間だけでなく、丘を昇り降りする区間ではカーブと坂の連続。次に来るときは、じっくり時間をとって、この28系統を制覇しなくては。
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