台湾鉄道のワンダーランド高雄港駅跡(旧打狗駅故事館)
高雄湾岸の哈瑪星(ハマセン)に残る日本統治時代の古い町並みを訪ねようと、地下鉄の最寄り駅「哈瑪星」で下車。外に出てみると、なんと目の前に広がっていたのは鉄道ワンダーランドだった。
事前に情報を把握していなかったので、これには驚いた。
戦前は高雄駅だったこの駅は、現在の高雄(新)駅ができると高雄港駅に改称。やがて貨物専用線となり、2008年に貨物取り扱いも廃止されて廃駅となった。残されたホームには、ここの駅名が打狗→高雄→高雄港と変遷したことを駅名標でたどっている。
使われなくなったホームと貨物ヤードが、その後、「打狗駅故事館」として鉄道公園のような形で公開されているというわけだ。
構内をうろうろしていると、入換機のようなものが牽引する観光列車がやってきた。
哈瑪星号というらしい。あとで知ったのだが、周囲の地名である哈瑪星というのは、日本語の「浜線」(つまり臨港線のこと)に由来しているらしい。
観光トロッコ列車に乗ってプチ鉄道旅。自転車くらいのゆっくりしたスピードで走る。
この保存蒸気機関車CT259は戦前の日本製で、C55と同型だ。
どこまで行くのかと思ったら、構内の端が終点だった。終点で5分ほど停車して戻る。全部で10分ほどの行程である。
でも、大人の乗客も童心に帰って手を振ったりして喜んでいる。
これも日本製の蒸気機関車。日本の9600と同型のDT609だ。
高雄港からは、かつてバナナが日本などに向けて大量に輸出されたとのこと。それにちなんで、客車や会社にこんなユーモラスな飾りつけも。
そういえば、昔は台湾バナナといえば高級品だった。
旧高雄港駅の広々とした貨物ヤード跡には、蒸気機関車だけでなく、かつての特急用ディーゼルカーやディーゼル機関車も保存されていた。
興味深いのは、そんな鉄道公園の中央を貫いて走るトラム。高雄市街を環状運転している。
古い車両にまじって、最新の車両が行き来するのは鉄道好きにはたまらない。
ところで、ここの鉄道公園の名称にもなっている「打狗」は、もともとこの都市全体を指す呼び名だった。
台湾の先住民語の「ターカオ(タークー)」の発音を漢語に当てて「打狗」としたものだ。
だが、統治にやってきた日本人が「これから立派な港町にするのに、犬を打つなんて地名はまずかろう」ということで、日本語の「高雄」(たかお)に表記を変更したのが由来とか。戦後、表記はそのままで中国標準話の「カオシュン」と読むようになった。
「だから、日本語のタカオという訓読みが、もとの地名に一番近いんですよ!」と、その昔、日本語学校の生徒が教えてくれたっけ。
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