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2025年3月の3件の記事

2025-03-22

台湾・高雄をぶらぶら

宿泊地の台南から高雄へは、台鐵(在来線)で1時間弱。高鐵(新幹線)の台南駅は都心から遠いうえに、高雄は手前の左営が終点。だから、台鐵で往復するのが便利で安価である。ICカードの悠遊カードも自動改札で使える。

台鐵高雄駅

高雄駅は前回訪れたときとは激変。新しい駅は上の写真のように広々としたコンコースが印象的だった。
もっとも、コンコースに売店も喫茶店もなかったので、落ち着くことができなかったのは残念である。
旧駅の駅舎は、新駅の隣に保存されていた。まだあちこち傷んでいたので、これから修復するのだろうか。

地下鉄美麗島駅

これは、地下鉄(MRT)の美麗島駅のコンコース。たまたまネットで見つけたので立ち寄ってみた。
「世界で二番目に美しい地下鉄駅」というキャッチフレーズがあるそうだ。
ナポリの地下鉄でも美しい駅があったけれども、どちらがいいかというのもヤボなものである。
SNS映えするからだろう、多くの人がここで写真を撮っていた。

旗津島への船

地下鉄で終点の哈瑪星へ。ここでは、前回書いたように鉄道ワンダーランドでしばし楽しんだのちに、日本家屋が残る町をぶらぶら。
そして、船で対岸の旗津島へ10分ほどのプチトリップ。

旗津島

旗津老街では海産物の店が軒を連ねていた。商店街を抜けると海岸近くにはびっしりと屋台が並んでいる。
なかでも、新鮮なものを扱っていそうなおばちゃんのところで、焼きイカを注文。時間をかけてじっくりと焼いてくれて、たれに加えて唐がらしもたっぷり。なかなかうまかった。

西子湾亨利咖啡

帰りの船は、行きとは別のコースで西子湾へ。歩き疲れたのでGoogleマップでよさそうな喫茶店を探し当てた。
とはいえ、それまで台南で飲んだコーヒーは、どこも今一つというのが正直な感想だった。
ハンドドリップで、そこそこおしゃれな店もあるのだが、味がイマイチ。端的にいえば薄いコーヒーばかりだった。
まあ、台北に行けばおいしい店もあるのだろうが……。

西子湾亨利咖啡

 だが、「亨利咖啡」というその店に入ってびっくり。店内はゴージャスで落ち着いた内装である。
接客してくれたマスターが、メニューについて丁寧に英語で説明してくれる。
何よりも驚いたのが、正面に据えられていたイタリア製の最高級エスプレッソマシンだ。全部で3種類3台のマシン。
日本やヨーロッパでもコーヒーの勉強をしたというマスターがいれてくれたコーヒーは、それまで台湾で飲んだコーヒーのなかでもピカイチである。

以前イタリアで撮ったエスプレッソマシンの写真を見せたら、もう話が止まらない。最後に、このマシンで入れてくれたエスプレッソまでごちそうしてくれた。それはそれは、イタリアでもめったに飲めない一品だった。

哈瑪星代天宮

コーヒーを飲んでのんびりしているうちに日はとっぷりと暮れた。
地下鉄の駅までぶらぶらと歩いていくうちに、通りかかったのがこの「哈瑪星代天宮」という大きな道教の寺。
境内に屋台がいくつもあるのだが、驚いたことに半分くらいが臭豆腐の店。おかげで、周辺にはあの独特の臭いが漂っていたのである。

六合夜市

最後に高雄駅近くにある「六合夜市」。何十年も前に訪れたことがあるが、ほとんど記憶に残っていない。

六合夜市

観光夜市と銘打たれていて、店のほとんどは食料品の屋台だった。
ただ、アルコールが飲める店が限られているようである。よくもまあみんなビールも飲まずにつまみっぽいものを食べられるものだと感心した。

2025-03-14

台湾鉄道のワンダーランド高雄港駅跡(旧打狗駅故事館)

高雄湾岸の哈瑪星(ハマセン)に残る日本統治時代の古い町並みを訪ねようと、地下鉄の最寄り駅「哈瑪星」で下車。外に出てみると、なんと目の前に広がっていたのは鉄道ワンダーランドだった。
事前に情報を把握していなかったので、これには驚いた。

旧高雄港駅

戦前は高雄駅だったこの駅は、現在の高雄(新)駅ができると高雄港駅に改称。やがて貨物専用線となり、2008年に貨物取り扱いも廃止されて廃駅となった。残されたホームには、ここの駅名が打狗→高雄→高雄港と変遷したことを駅名標でたどっている。

使われなくなったホームと貨物ヤードが、その後、「打狗駅故事館」として鉄道公園のような形で公開されているというわけだ。

哈瑪星号

構内をうろうろしていると、入換機のようなものが牽引する観光列車がやってきた。
哈瑪星号というらしい。あとで知ったのだが、周囲の地名である哈瑪星というのは、日本語の「浜線」(つまり臨港線のこと)に由来しているらしい。

蒸気機関車CT259

観光トロッコ列車に乗ってプチ鉄道旅。自転車くらいのゆっくりしたスピードで走る。
この保存蒸気機関車CT259は戦前の日本製で、C55と同型だ。

哈瑪星号からの眺め

どこまで行くのかと思ったら、構内の端が終点だった。終点で5分ほど停車して戻る。全部で10分ほどの行程である。
でも、大人の乗客も童心に帰って手を振ったりして喜んでいる。

蒸気機関車DT609

これも日本製の蒸気機関車。日本の9600と同型のDT609だ。

旧打狗駅故事館

高雄港からは、かつてバナナが日本などに向けて大量に輸出されたとのこと。それにちなんで、客車や会社にこんなユーモラスな飾りつけも。
そういえば、昔は台湾バナナといえば高級品だった。

旧打狗駅故事館

旧高雄港駅の広々とした貨物ヤード跡には、蒸気機関車だけでなく、かつての特急用ディーゼルカーやディーゼル機関車も保存されていた。

高雄のトラム

興味深いのは、そんな鉄道公園の中央を貫いて走るトラム。高雄市街を環状運転している。
古い車両にまじって、最新の車両が行き来するのは鉄道好きにはたまらない。

ところで、ここの鉄道公園の名称にもなっている「打狗」は、もともとこの都市全体を指す呼び名だった。
台湾の先住民語の「ターカオ(タークー)」の発音を漢語に当てて「打狗」としたものだ。
だが、統治にやってきた日本人が「これから立派な港町にするのに、犬を打つなんて地名はまずかろう」ということで、日本語の「高雄」(たかお)に表記を変更したのが由来とか。戦後、表記はそのままで中国標準話の「カオシュン」と読むようになった。
「だから、日本語のタカオという訓読みが、もとの地名に一番近いんですよ!」と、その昔、日本語学校の生徒が教えてくれたっけ。

2025-03-11

高雄・橋頭糖廠の五分車(観光トロッコ列車)

糖業博物館のあるMRT橋頭糖廠駅前には、観光用の五分車の始発駅があった。
五分車とは、通常の鉄道の半分のスケールということ、つまりナローゲージという意味だ。

MRT駅前にある乗り場

観光シーズンには約1時間おきに走っているようだけど、冬なので間引き運転されていた。
始発駅のホームの横を、台鐵の列車が頻繁に通過していく。そして、頭上にはMRTが走る。
鉄道パラダイスだ!

観光トロッコ列車の車内

工場跡や博物館にたくさんの観光客がいたので、この観光トロッコ列車も満員かと心配して、切符売場のオープン前から待ち構えていた。
だが、それも杞憂に終わった。乗客は数えるほどである。それでも、何組かの家族連れが楽しそうに乗り込む。
発車時刻になると、橋頭製糖工場跡とは反対方向に走り出した。

植物園前終

そして、のどかな風景の中を走ること約10分。終点の植物園前に到着した。
意外に楽しめた。

保存蒸気機関車

終点には、さとうきび運搬に使われていた蒸気機関車が保存されていた。
案内板には、「比利時」製の0-C-0機とある。従輪なしのC型タンク機関車だ。
はて、比利時とは?……と思って調べてみたらベルギーだった。
すぐ横には大きな集合住宅が建設中で、5年もすると景観も大きく変わっているに違いない。

観光トロッコ列車の走行写真

橋頭で買った切符で往復乗車できるのだが、折り返しの発車まで1時間以上ある。
そこで、近くを走る路線バスに乗ってMRTの最寄り駅である青埔駅まで行き、もう一度橋頭にリターン。軽食をとったのちに帰りの列車を待ち伏せることにした。

観光トロッコ列車の走行写真

トロッコ列車の通過時間近くになると、踏切番のおじさんが車で到着。
まもなく、踏切の鐘が鳴って、のんびりと列車が通過していった。

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著書

  • ローカル鉄道と路線バスでめぐる
    果てしなきイタリア旅 (草思社)
  • 辞書には載っていない⁉ 日本語[ペンネーム](青春出版社)
  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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