« ラヴェンナでモザイク三昧(下) | トップページ | アドリア海の保養地ヴァストで進退きわまった話 »

2023-12-22

水郷とウナギの町コマッキオへ

ラヴェンナでモザイクを大急ぎで見たあと、路線バスで訪れたのがポー川下流の水郷の町コマッキオである。
ヴェネツィアと同じく潟を埋め立ててできた町で、「小さなヴェネツィア」というニックネームがあるように、町のなかに運河が走る。

コマッキオの運河

ヴェネツィアから南に直線距離で50kmほどのところに位置しているが、ここにはあの喧騒はない。
もちろん、ヴェネツィアにくらべれば規模も小さく、観光ポイントも少ないが、その分だけのんびりと町歩きが楽しめた。

フェラーラのバスターミナル

さて、コマッキオ行きのバスが出るラヴェンナのバスターミナルは、町の東の端、駅の裏側にあった。宿泊地のフォルリからのバスは町の西の端から発着する。会社が違うからしかたがないかもしれないが、かなり迷った。
しかも、バスターミナルには何の表示も時刻表もなく、そばにいた人たちに聞いてもどこから乗るかわからず、心細いこと限りない。

時間になったら、遠くからバスがやってきた。乗り過ごすまいと構えていたらバスターミナルに入ってきて一安心。
何人かの女子高生が集まっていたので聞くと、そこがコマッキオ行きの乗り場だという。
いつもながら、イタリアの路線バスはハードルが高い。まあ、それがあるからうまく乗れたときの喜びが大きいわけだが。

コマッキオ近くの車窓

コマッキオまでは直線距離で30kmほどだが、あちこちの村に立ち寄っていくものだから、1時間以上もかかる。
沿道には海水浴場があって真夏には観光客で賑わうのだろう。ホテルや飲食店が並ぶ町も車窓から見えた。
コマッキオの近郊では、大きな松並木が続く。

漁師小屋トラブッコ

コマッキオが近づくと、車窓から見えたのが漁小屋トラブッコである。
アブルッツォやモリーゼでは観光用に残されているのを見たが、ここでは数多くのトラブッコが現役のようだ。
まるで東南アジアのような光景なのが興味深い。

コマッキオの運河

バスの運転手がこちらを振り返って、「ここで降りるといいよ」と教えてくれた。
バス停付近は殺風景だが、一歩町の中に入ると素晴らしい光景が広がっていた。
のどかな運河べりを仲良し4人組が楽しそうに話をしながら歩いていく。

サンピエトロ橋の近くで運河が分岐している。観光客が自転車でめぐっているが、ちょっと間違うと運河に落ちそうだ。 

トレッポンティ

これがコマッキオのシンボル。運河の交差点に架かる石造りの見事なトラッポンティ橋。スクランブル交差点の運河版である。

コマッキオ中心部

この町の名物はウナギ。日本のそれにくらべて丸々と太っているというが、残念ながらレストランはまだ空いておらず、食べることはできなかった。
上の写真の奥のレストランの店名は、Anguilla c'è(アングイッラ・チェ)。日本語にすると「ウナギあるよ」という意味だ。なんともストレートな名前である。
前日にフェッラーラでランチに入った海鮮料理のおいしい店は、この町に本店があった。距離は離れているけれども、同じフェッラーラ県なのでつながりが強いわけだ。

コマッキオ中心部

名物のうなぎは食べられなかったけれど、運河に浮かべた船がバールのテラス席になっており、冷やした地元の白ワイン、プロセッコが沁みた。

« ラヴェンナでモザイク三昧(下) | トップページ | アドリア海の保養地ヴァストで進退きわまった話 »

イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ラヴェンナでモザイク三昧(下) | トップページ | アドリア海の保養地ヴァストで進退きわまった話 »

著書

  • ローカル鉄道と路線バスでめぐる
    果てしなきイタリア旅 (草思社)
  • 辞書には載っていない⁉ 日本語[ペンネーム](青春出版社)
  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
無料ブログはココログ

.