« ボルツァーノの高原を走る軽鉄道(下) | トップページ | 「チロル」の語源となったチロル城とチロルの町 »

2023-11-05

本家「チロル」のチロル城を目指して

ソプラボルツァーノの軽鉄道とともに、15年前の旅行で行きそびれたのが「ティローロ」(Tirolo)だ。ドイツ語名は「ティロル」、日本語では「チロル」として知られている地名である。
「チロル」と聞くとスイスやオーストリアアルプスの山深い風景を思い浮かべる人が多いだろうが、実はその由来となったチロル(ティロル/ティローロ)の町はイタリアにある。

ボルツァーノ駅

すでに書いたように、第一次世界大戦の結果、ハプスブルク家支配下のチロル伯領のうち、北チロルと東チロルはオーストリアに、南チロルはイタリアに分割された。そして、チロル伯がかつて居城としたチロル城は南チロルにあるので、チロルの本家本元はイタリアにあるのだ。
……なんてことを知ったのは、前回の旅から帰ってからのことである。「行っておくべきだった」と悔やんでも後の祭り。その「宿題」をやり遂げる機会がようやくやってきたのである。

グーグルマップによれば、チロル城の近くまではメラーノ(Merano)駅前からバスがあると知り、まずはポルツァーノから列車でメラーノへ。
メラーノ行きのローカル列車は、1番線の端にある1A番線で発車を待っていた。自転車も積み込み可能である。

メラーノ駅

40分ほどでメラーノ着。ここは保養地として知られた町だが、駅は中心部から2kmほど離れている。

さて、イタリアでバスに乗るときのいつもの問題は、どこで切符を買うかである。近くには切符売場もタバッキもない。
思い余って近くに停まっていた別系統の運転手に聞いてみたところ、「バスのなかで買えるよ」とのこと。ほっとしてバスの到着を待つ。

カステル・トッレのバス終点

やってきたのはミニバス……というよりワゴンだった。「切符を2枚!」というと、運転手は「ない」という。
「えっ、車内で買えると聞いたのに!? またイタリアのバスの罠か……」
だが、それは思い違いだった。
「無料なんだよ。切符はいらない」と運転手は予想外のことを口にした。どうやら、山の上のほうに向かう住民や旅行者の利便をはかるために、無料で運行されているようだ。

途中から急勾配のくねくね道を走ること30分、終点のカステル・トッレ(塔の城)に到着した。そこは、上の写真のような味気ない駐車場だった。終点まで乗ったのは10人ほどである。

スーンシュタイン城

 バス停からすぐのところにあったのが、このスーンシュタイン城。これがイタリア語では通称「塔の城」というようだ。
なかなかフォトジェニックな建物である。
現在はレストラン付きのホテルになっていて、さきほどの駐車場はここを利用する人のためのようだ。

チロルの町遠景

グーグル先生によると、バス終点からティローロ城までは徒歩25分とある。丘の中腹をめぐる道で、坂はきつくないのが幸いである。
バスに乗ってきたドイツ系観光客のうち、2組ほどの高齢夫婦が同じルートで城に向かっていった。

彼らは高齢の人たちでもよく歩く。
「あんなに歩いているのに、どうしてみんな太っているのかしら」とは私の妻の感想である。

チロル城遠景

ドイツ系観光客はすたすたと先に行ってしまったが、われわれはあまりの絶景に感動して、あちこちで立ち止まっては写真を撮るので、なかなか進まない。
想定よりもかなり時間がかかったが、ようやく行く手にチロル城が見えてきた。

« ボルツァーノの高原を走る軽鉄道(下) | トップページ | 「チロル」の語源となったチロル城とチロルの町 »

イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

鉄道、乗り物」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ボルツァーノの高原を走る軽鉄道(下) | トップページ | 「チロル」の語源となったチロル城とチロルの町 »

著書

  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
無料ブログはココログ

.