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2023-11-15

南チロルからエミリア-ロマーニャへ移動

9月9日、3泊したボルツァーノに別れを告げて向かったのは、ボローニャにほど近いエミリア-ロマーニャ州のフォルリ。この町の名前は、アクセントが最後のiにあるので、最後の「リ」を強めて伸ばし「フォルリー」と発音するほうが近い。

エミリア-ロマーニャ州では、すでにボローニャに泊まったことがあるので、以後の旅程や宿の値段も考えてフォルリを選んだ。ボローニャのあるエミリア地方よりも、地味で注目度が低いロマーニャ地方に魅力を感じていたこともある。

イタリアの鉄道雑誌

ボルツァーノ駅構内の売店でイタリアの鉄道雑誌「I Treni」と「Tutto Treno」を購入してバールでひと休み。鉄道雑誌は、町なかの書店でも売っている店が少ない。むしろ、大きな鉄道駅で雑誌や雑貨を扱う売店のほうが確率が高い。

乾いた空気のなか、オレンジの生ジュース(スプレムータ・ディ・アランチャ)が喉にしみる。。

ボローニャ駅

まずは、ボルツァーノ発ボローニャ行きのRegionale Veloce(レジョナーレ・ヴェローチェ)に乗って終点のボローニャへ。レジョナーレは「地域の」という意味で普通列車を指すが、レジョナーレ・ヴェローチェはそれに「速い」が加わった列車種別だ。特別料金がいらない速い普通列車なので、日本流でいえば「快速」に当たる。

ボローニャ駅では40分ほどの待ち合わせ時間があったので、軽食をとってちょっと構内をぶらぶら。奇妙な窓ガラスがある待合室には、以前も訪れたことがある。

この待合室については、2009年にこのブログで「過去の記憶をとどめるボローニャ駅の待合室」と題して取り上げたことがある。1980年に起きた大規模な爆弾テロで多くの死傷者を出した事件の跡をとどめているのだ。旅行中の日本人男子学生も巻き込まれて亡くなっている。私と同じ年代の人だった。事件で割れたガラスを両側からはさんで、その形状を保存したのが上の写真である。

ボローニャ駅

2009年のブログで書いたように、前回は待合室内に事件直後の駅の写真、犠牲者全員の名前と年齢を彫り込んだ壁面、へこんだままの床が保存されていた。だが、今回行ってみると、割れたガラスのほかには事件直後の駅の写真があるだけで、ちょっとがっかりして驚いた。

名前を彫り込んだ壁は、どこにいったのだろうか。イタリアのことだから、そのまま廃棄することはないだろう。どこか別の場所に保存されているに違いない。

ボローニャ駅

さて、ボローニャからはアドリア海方面(イタリア東海岸)に向かう路線を利用する。この路線のローカル列車は、上の写真にある日立レール社製の 電車ETR421、通称「Rock」が使われていた。2019年に登場した車両で、内部は2階建てになっている。

フォルリ駅

車内の液晶画面には、途中駅や次の駅の案内のほかに速度も表示される。イタリアの幹線は駅間距離が長く、線路幅も広いので普通列車なのに最高150km/hで跳ばしていた。
ロックと聞くと上下左右にぐいぐい揺れそうに思えるが、新しい車両だけあって乗り心地は大変よろしかった。

途中、サーキットで有名なイモラの町を通り、ボルツァーノから都合4時間ほどかけてようやくフォルリの駅に到着した。

フォルリ駅

1時間に1、2本しか列車が停車しない割には、立派すぎるほどの駅舎である。
それはいいのだが、町の中心部が駅から1km近く離れている。
宿は旧市街の細い道に面しているので、バス停からも遠い。重い荷物もあることだし、駅前に停まっているタクシーを利用することにした。

フォルリの宿

イタリアの旧市街によくあるように、道は一方通行だらけ。しかも、週末とあって広場で開かれる演奏会のために広場付近はすでに通行止め。
ぐるぐると旧市街をまわったすえに、なんとか宿の前にたどりついた。料金は15ユーロだったか。

宿は、最近のイタリアで急速に増えている旅行者用アパートである。正面の白い2階建ての建物がそれだ。ここの1、2階がすべて使える。

フォルリの宿

内部は清潔で、洗濯機も冷蔵庫も備わっている。これでホテルよりもずっと安いのだから、利用しない手はない。
朝食は出ないが、かえって時間を自由に使えていい。いつでも好きなときに出入りできるのは、気ままな旅が好きな人間にはぴったり。
ここに3泊する。

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著書

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  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
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