フェッラーラ エステ家の城とイタリア版うなぎパイ
フェッラーラの中心部、大聖堂前の広場から視線を北側に向けると、そこにそびえ立つのがエステ家の城(エステンセ城/Catello Estense)だ。中世にこの町に君臨したエステ家の居城である。
手前に見える彫像はサヴォナローラ。ドミニコ会修道僧の彼は、ルネサンス時代のフィレンツェに招かれ、当時ロレンツォ・ディ・メディチの支配下で贅沢を極めていたフィレンツェの人びとに異議を申し立てて評判を呼んだ。
一時、フィレツェの実権を握ってストイックな神権政治を行うが、最終的に市民の批判を浴びて処刑されてしまう。まあ、あまりにもやり方が極端だったようだ。フィレンツェのシニョーリア広場には、彼が火刑になった場所に、それを示す石が埋め込んであった。
歴史上で必ずしも評判がよろしくはないサヴォナローラの彫像に驚いたが、ここフェッラーラは彼の生地なのだと今回初めて知った。
さて、さっそくエステ家の城を見たいと思ったが、もう午後2時すぎ。腹が減っては戦ができない。下手をするとレストランがみな閉まって昼飯難民になる恐れがある。
うまそうなメシ屋を探すこと約20分、たどりついたのが広場から北側の裏通りにあるBANCHINA52(バンキーナ52)という店。海鮮料理の専門店だった。
この日は節約しようと思ったのだが、いい香りとうまそうなメニューには勝てなかった。
海の幸の前菜を食べたあとは、海の幸のパスタ。これがまた絶品だった!
ワインはおすすめの白ワイン。砂地で栽培したぶどうを使ったワインだそうで、ミネラル感たっぷりでありながら、繊細な海の幸の料理を邪魔しない結構なものでした。値段は20ユーロ台だったかな。昼間だったけど、2人で1本空けた。
この日は、メインまでいかずに、パスタで終了。食後のコーヒーを注文したら、出てきたお菓子がこれ!
聞くと、フェッラーラ県の海岸にあるコマッキオは、うなぎで有名なんだとか。恥ずかしながら初めて知った。それにしても、かわいい! イタリア版うなぎパイである。
超満足も当然のことで、Googleマップの口コミが50件近くあるのに、平均が5.0なんて店は初めて見た。店の人の応対もにこやかでソフトだった。
そして、腹がいっぱいになったところで、エステ家の城に突入。この城は周囲を水堀に囲まれており、跳ね橋をわたって内部に入る。日本ではよくある形だが、イタリアでは珍しい。
上の写真は、見どころの一つである公爵の礼拝堂。
そして、色鮮やかな壁画の「遊戯の小広間」。さまざまなスポーツや運動をしている人たちが描かれていてユーモラスだ。
城の一角に立っているレオーネの塔には別料金で上れる。その途中からは、まさに中世の都市そのままのフェッラーラの旧市街を眺めることができた。
実は、壁というか塀の隙間から外を撮ったので、42年前とアングルをぴったり合わせて撮ることができた。建物がまったく変わらないのに驚く一方で、フィルムの色調もあるのだろうが、排気ガスで黒ずんだ建物の壁が時代を感じさせる。
きれいになったのはケルヒャーのおかげだろう。
反対側の広場に出てきた。いくら広場が広くても、建物が巨大なのでぎりぎりまで下がってようやく全体が収まる。
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ここも、昔と対比してみた。当時は、この広場まで車が入ってこられたのだ。
イタリアの都市はどこもそうだが、以前は車中心の社会だったので(今でもそうではあるけれど)、ところ構わず車が入ってきて駐車していたものだった。おかげで、エステ家の城の壁も排気ガスで黒ずんでいる。
9月のまだ暑い日だったので、歩き疲れると同時にかなりの脱水気味になってしまった。そこで、行きにそばを通って気になっていたフルーツ喫茶の前に着席した。
2人ともジュースを飲むつもりでいたのだが、客の3分の1くらいがすいかを食べているのを見て方針変更。驚くほど大きなすいかが出てきた。
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