奈良県五條市の比類なき町並み(3)新町通りと五新線
新町通りを進んでいくと、目の前には白漆喰の町屋が次々に現れる。
これまで、日本じゅうの町並みをめぐってきたが、環濠集落の今井は別格として、これだけの規模で街道沿いの町並み(国道の沿道を含めて)がしっかり残っているのは極めて珍しい。電柱と電線があるのは残念ともいえるが、かえってそれが実際に人が生活していることを示していて、生きた町並みであることを実感する。
「餅商 一ツ橋」は一度閉店して、現在は「チョコスタンド 一ツ橋」となっていた。大正元年に掲げられた看板は、黒地の部分がコールタールで塗られているとのことだ。
白壁の民家の敷地が、新町通り(旧・伊勢街道)沿いにジグザグに仕切られている。どこだったか別の町では、「人が隠れることができるので、戦いがあったときに兵を隠せる利点がある」とされていたが本当だろうか。
五條の町は何度も大火で焼けたとのことで、防火建築が多い。黒漆喰は高価だが火に強いという。さらに、この家は2階の窓を鉄の扉で閉じることで、延焼を防げるようになっている。
町並みを歩いていくと、五条と新宮を結ぶ未成線「五新線」の痕跡が突如として現れた。コンクリートの橋脚と橋桁は、比較的新しいもののように見えるが、つくられてからもう半世紀以上は経っているはず。
上の写真の左側はアーチ橋になって五条駅に続いていた。もし五新線が開通していたら、どんなことになっていたのか。赤字路線としてすでに廃止されていた可能性は高いが、もしかすると十津川温泉が関西の奥座敷として賑わったかもしれない。
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