宗教都市天理をぶらぶら
実はまだ生まれてこのかた、法隆寺も東大寺も訪れたことはない。かろうじて、興福寺や当麻寺は行ったことがあり、今回の旅では飛鳥寺に行くことができた。近鉄奈良駅前に宿をとったので、今回こそ東大寺に行こうと思っていたのだが、初日の知人の車で天理を通過して、がぜん興味がわいてきた。
日本でも類まれなる宗教都市天理は、江戸時代に成立した天理教の教会本部がある町だ。以前から訪ねてみたいと思ったので、翌日さっそく出直したわけである。
前夜、奈良市内の居酒屋のマスターから、天理教についての予備知識を仕入れることができたのは幸いであった。
「天理教信者はみんないい人だよ。相応のお布施は求められるようだけれど、無理な勧誘はしないね。去年までアルバイトをしていた子も家族ぐるみで天理教信者だったよ」とのことで少し安心した。
近鉄天理駅構内は日中約20分おきの運転のわりには、だだっ広い。毎月26日の月次祭や大祭には臨時列車が運転されて、さくさんの人が訪れるという。
だだっ広い駅構内から出て、ただっ広い駅前広場を横切り、天理本通の商店街を探検。この商店街を突っ切ると天理教の総本部に出る。
駅に近いあたりは何の変哲もない店が続くが、よく見るとこの酒屋の看板にも「天理教御神酒」とあって、興味はいやましになる。
天理教関係の新しい建築はこれが標準のようで、愛知県庁舎や東京の九段会館に見られる和洋折衷の帝冠様式に通じるところがある。市内のあちこちで見ることができた。これは信者が宿泊する建物。
教会本部が近づくにつれて、徐々に衣装店が目につくようになってきた。もちろん、天理教の行事で着たり使ったりするものがほとんどだ。どれも質素なのが特徴。
福助のマークが懐かしい。半世紀前の日本がこの商店街で冷凍保存されている印象である。
(つづく)
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