西表島 路線バスで村めぐり(5)大富
仲間川をはさんで大原と向かい合う大富は、1952年(昭和27年)から竹富島、波照間島、沖縄本島からの人びとが入植してできた集落だという。
豊原や大原もそうだが、それまで西表島東部がずっと無人だったというわけではなく、戦前にも村があちこちにあった。だが、マラリアや戦争などの理由によって、そのほとんどが廃村になってしまったのだ。
仲間川左岸の河口近くに位置する大富は、仲間川クルーズの拠点になっていて、クルーズ船の乗り場があった。
このあたりでは仲間川の川幅は200mほどある。入植当時はもちろん川に橋など架かっておらず、港がある大原とは小舟で行き来していたそうだ。
イリオモテヤマネコの像が鎮座する仲間橋を渡り切ったときのことである。突然近くの木のてっぺんに大きな鳥が舞い降りた。写真を撮ろうとそっと1歩近づいたら逃げてしまった。かろうじて撮ったのがこの1枚。
あとで野生動物保護センターの人に聞いたところ、たぶんカンムリワシだろうとのことである。
大富の県道沿いには共同売店があった。地元の人だけでなく、車で行き来する人がひっきりなしに出入りする。島の東部では、県道に面した売店がほとんどないからだろう。
昼飯をくいそびれた私は、この大富共同売店でパンと飲み物を買い込んで、30分後にやってくるバスを待つことにした。
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