佐世保市街の住宅地にある秘境「お滝さん」
旧平戸街道をひたすら東に向かって歩いていった。
いつまで歩いてもきりがないので、そろそす下界に降りようかと思ってGoogleマップを見ると、「お滝さん石仏」という表記がある。
──どうせ道端に何体かの石仏が立っているくらいだろう。
そう思ったが、地図上のどの道からも離れた場所にあるのが不思議だ。せっかくなので行ってみることにした。
しばらくすると、道沿いに「お滝さん」の由来を説明した看板が立っていた。
それによると、「大正時代に吉田増玄師が開いた滝行道場があった」とある。
その横に、つい見過ごしそうな急な下りの階段があるので、そこを降りていく。
階段は50段ほどだったろうか。周囲はうっそうとした緑に覆われて、10段も降りるとまったく異世界である。
顔にかかりそうになる枝や蜘蛛の巣を払いながら、階段に積もる落ち葉にすべらないよう用心しながらゆっくり降りた。
そうして降りると、2枚目の写真のような小さな滝があった。
今はちょろちょろ流れているだけだが、以前は滝行ができるほど流れていたのかもしれない。
そして、あちこちに石仏が置かれている。入口にあった看板によると、薬師如来、蔵王権現、足の病を治す足ずりさん、婦人病の粟島さまなどの27体の石仏があるという。入口の階段の途中には石灯籠が据えてあったが、それは旧花園遊廓の寄付と書かれていた。
これが佐世保最大の薬師如来のようだ。おどろおどろしい情景のなかにあって、超然とたたずんでいるように見える。
帰りはこの石段にチャレンジ。行きよりもさらに難易度の高い石段であった。
石段を登り切ると、地獄の底からこの世に戻ってきた気分がした。
住所は木風町(きかぜちょう)である。
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