しばらく間があいてしまったけれど、2019年秋に訪れたサルデーニャ島の旅の話のつづき。
ヌーオロに到着した翌日は、路線バスでマモイアーダの町へ。
町の中心部からかなり離れたバスターミナルから、arst社のバスが平日日中は6往復運行している。
宿からは市内バスでバスターミナルに向かい、そこからマモイアーダまでは所要20分ほどである。

arst社は、イタリア鉄道を除く島内の公共交通機関を統合してできた公共企業体で、イタリアらしいこんなシックな配色のバスが走っている。
マモイアーダでは、毎年2月のカルネヴァーレ(カーニバル)で催される仮面の踊りが知られている。
もちろん、秋に行っても見ることはできないのだが、町内にある民俗博物館「地中海の仮面博物館」に行けばその様子がわかるということで訪問してみることにした。

マモイアーダはそこそこ大きな町なのだが、中心のバス停がこんな具合。
小さな教会の前に停まったのだが、バス停の標識がない。まあ、イタリア南部や島部ではよくあることだが、帰りのことを考えるとバス停の場所は要確認である。
幸いなことに、ヌーオロに戻る側にはバス停があったので安心した。
さっそくバス停前にある仮面博物館に入ろうとしたのだが、建物の前に何台もの観光バスが停まっているではないか!
嫌な予感を覚えつつ中に入ると、受付の周辺がドイツ人の団体でごったがえしている。
しばらくして人がいなくなったのを見極めて、受付の人に尋ねた。

「あのー、私たち、見学したいのでございますが……」
「うーん、しばらくは混雑しているから、もう少しあとになってから来て」
「へへい、では町をぶらぶら歩いてきますね」
「それがいいわ」
と、そんなわけでマモイアーダの旧市街をブラタカシすることにした。

サルデーニャ中央部の町では、あちこちで壁画を目にしたが、ここにもこんな壁画が。
昔のサルデーニャの生活を思い起こさせる。

これは、牛の頭蓋骨か。家のベランダに飾ってある。
そういえば、同じような風景をネパールのムスタンで見たっけ。

これは、4人の男性がコーラスで伝統音楽を歌う情景だろう。
その昔、FMの民俗音楽番組で聴いたことがあるが、無伴奏で歌われる男性の声が重厚で印象的だった。
今でも、サルデーニャを舞台にしたイタリア映画では必ず流れてくる。

で、車が通らない旧市街の路地は、やっぱりネコちゃんの天国。
狭い旧市街をのんびり歩き、中心部に戻ってコーヒー飲んでから博物館に戻ってくると、ドイツ人団体はすでに帰ったようでスムーズに入館できた。
「ビデオの音声は英語にする? イタリア語?」
格好をつけたわけじゃないが、英語で説明されてもわからないだろうから、聞き取りやすいイタリア語でお願いした。
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20分ほどのビデオ(撮影禁止)は祭りの裏舞台も含めて紹介したもので、なかなかよい出来。祭りへの理解も深まった。
続く展示室でまず目に入ったのが、マモイアーダの祭りに登場するマムットーネスとイッソアドレスのマネキン。
黒い顔に黒装束のマムットーネスは、背中に重そうな鈴をいくつもぶらさげて、その鈴を慣らしながら踊り歩く。全重量30kgとのこと。
一方、白装束のイッソアドレスが軽やかに進んでいく。
マムットーネスが仮面をかぶって衣装を着るときには、あたかも宗教儀式のようだとかで、仮面をかぶったとたんに一種の神のような存在になるという。
まさに、秋田の男鹿半島で聞いたなまはげと同じ! いかにもキリスト教伝来以前からあった祭りのように思える。

正式名称を「地中海の仮面博物館」というだけあって、展示室にはサルデーニャ島だけでなく、スペイン、トルコに至るユニークな仮面が収蔵されていた。
上の写真は、サルデーニャ島の別の町のカルネヴァーレの装束である。
ぜひ、秋田のなまはげも展示してほしいものだ。

博物館を出て、ヌーオロに戻るバスの時間に合わせて、また町をぶらぶらしたのだが、バスまで15分前というところで、バス停近くにカンティーナ(ワイナリー)Cantina Giuseppe Sedilesu を発見。時間がないのに突入した。
3代続くワイナリーだそうで、農薬も添加物もなしの自然派ワインのだそうだ。時間があれば、葡萄畑や醸造所も案内してもらえたとのことで残念。
それでも、短い時間に親切にいろいろと味見をさせてもらったり、写真を見せてもらったりした。
なかなかいい赤ワインだったので、5本ほど買って帰ったのであった。
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