鉱山で栄えた町イグレジアス
ポルト・フラーヴィアからマズーアのバス停まではあまりに遠いので、結局行きに乗ったタクシーを電話で呼んだ。
イグレジアスの町なかも見たいので、旧市街で降ろしてもらうことにした。
「ここから坂道を登ると眺めがいい場所に出るよ。帰りはこの方向に15分くらい歩くと駅に出る」
50代後半と見える運転手は、親切に案内してくれた。
Iglesiasとは、スペイン語だと「教会」という意味だ。
「この町は教会が多いんだ」と運転手が言っていたが、はたしてそれが語源なのか。
ただ、調べてもスペイン語起源のような記述はなく、運転手も否定気味だ。
ネットではラテン語が起源だと書かれていたがわからない。
ちなみに、スペイン語だと濁らずに「イグレシアス」だが、イタリア語だと「イグレジアス」になる。さらにいえば、「レー」にアクセントを置いて、「イグレージアス」とイタリア人は発音していた。
旧市街を歩いていると、単なる田舎町とは思えない立派な町並みが続き、かつての鉱山町の賑わいを偲ばせる。
日本で鉱山町というと、閉山とともに寂れていくのが相場だが、ここはそこそこ人口もあって昔の面影を残しているのが興味深い。
マズーア海岸の観光で多少はうるおっているのだろうか。
上の写真は、イグレジアス旧市街の中心にあるサンタ・キアラ教会。正面のデザインが現代的だ。
広場にはカフェテラスが設けられていたが、中途半端な時間だったためか人影はほとんどなかった。
確かに、町の至るところで大小の教会や教会跡を見ることができた。
また、昔の鉱山学校だった立派な建物は鉱山博物館に変わっていた。
このカラフルな建物は、マドンナ・デッレ・グラツィエ教会。
どこまでが教会で、どこからが民家なのか、不思議な建物だ。通りの反対側もカラフルな建物が続く。
広場でビールを飲んでから駅に戻ると、駅前に見慣れたタクシーが客待ちをしているではないか。
「おう、どうだった? 楽しめた? 鉱山博物館は立派だったろう」
やはり、この町には1台しかタクシーがないようである。朝うまく捕まえることができたのは幸運だった。
イグレジアス駅で待っていたのは、ディーゼルカーATR365。サルデーニャ島向けにスペインCAF社が製造したものだ。2015年末から使用が開始されたというから、ほぼ新車といっていい。
カーブを高速で通過できるよう、振り子装置を搭載しているとのことで、曲線の多いサルデーニャに適しているのだろう。
座席にはテーブルが設けられているほか、普通列車とは思えないほど座り心地のいいクロスシートの座席に腰を落ち着けると、この日の疲れがどっとでたのか、動き出したとたんに眠ってしまったようだ。
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