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2022年6月の5件の記事

2022-06-15

水海道の町並みをぶらぶら(下)

水海道の町でも銀行や商店が並ぶ中心部は「大通り」だが、歴史的な町並みは本町のあたりに集中している。

五木宗レンガ蔵

鬼怒川沿いに残る「五木宗レンガ蔵」。水運で栄えた当時の繁栄を今に伝える。

長田屋陶器店

五木宗レンガ蔵から100メートルほど、これまた赤煉瓦が印象的な「長田屋陶器店」。
ここを右に入ると、大通りに戻る。

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昔はその名の通り栄えていたに違いない栄町だが、ご多分に洩れず、現在はシャッターが閉じ、看板が消された商家が並ぶ。

北川質店

栄町の中央にデンと立つ「北川質店」。すでに営業はしていないようだが、最近になって漆喰を塗り直したとのことで、白い外壁が美しい。

栄町の商家

更地をはさんで北川質店と並んだところにある商家。すでに営業をしていない。
正面はごく普通の看板建築だが、奥のほうまでおそらく母屋、蔵と続いている。

高田歯科医院

大通りと直行する「プラザ通り」は片側2車線で歩道もある広い道。
この建物は「高田歯科医院」。ドラマに出てきそうだ。

味わい深い商店建築

ここも営業はしていないが、こぢんまりしているが味わい深い商店建築だ。
左が商店で右が蔵、その間にある小さな門(?)のバランスがいい。左奥にちらりと見えるのが母屋か。

居酒屋から出てきたネコ

思いのほか、興味深い町並みがあったので、当初の見込みよりもずいぶん時間がかかった。
蒸し暑いなかをかなり歩いたので、裏通りを通って駅へ戻る。
すると、居酒屋から出てきたネコににらまれた。

常総線水海道駅

構内踏切が残る関東鉄道常総線水海道駅。何十年も前に車両基地があった駅裏には、ホテル・ルートインが建っていた。

2022-06-13

水海道の町並みをぶらぶら(上)

利根川の小堀(おおほり)の渡しが定休日だった5月25日水曜日、そのまま帰るのも惜しいので、関東鉄道常総線に乗って茨城県常総市水海道(みつかいどう)に向かった。鬼怒川の水運で栄えた町である。
常総線の写真を撮りに降りたことは何度もあったが、こんなに渋い町並みがあるとは不覚にも知らなかった。

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水海道駅前から線路に直角に伸びる駅通りの途中にあった「岩見石版印刷所」。
横から見るとごく普通の日本家屋なのだが、この正面が異彩を放っている。

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さらに進むと、駐車場の壁から隣の店から、昔の映画のポスターがびっしり。
どうやら、昔ここにあった「宝来館」という映画館を偲ぶものらしい。

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昔は栄えただろうこの商店街も、今やシャッターが閉まったままの店が大半を占めている。
突き当たりを左右に走る「大通り」が見えてきたあたりに、駅通り商店街華やかなりしころを偲ばせるアーチが架かっていた。

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大通りにある江戸屋薬舗は、江戸時代から薬草をはじめとしてさまざまな商品を取り扱った廻船問屋。この建物は、1859年に建てられたものとのことで、外壁は1階が煉瓦貼りで、2階が黒漆喰仕上げなのがおしゃれだ。

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これも大通りに面した旧報徳銀行水海道支店。報徳銀行は統廃合を経て関東つくば銀行となって、この建物は常総市が譲り受けたとのこと。関東つくば銀行はその後の合併で筑波銀行となっている。

(つづく)

2022-06-12

水戸街道 取手宿の残り香

利根川を渡る小堀(おおほり)の渡しに乗ったのは、6月2日の木曜日。
実は、その前の週にも出かけたのだが、なんと水曜日が渡し船の休業日であった。すでに地元の足ではなく、観光用であるからしかたない。
せっかく取手までやってきたのだからと、水戸街道の取手宿をぶらぶらすることにした。

取手駅東口近く

 上の写真は宿場とは関係なく、取手駅から旧水戸街道に向かう途中にあった看板建築の連続。
飲み屋が多かったが、この写真のように不動産屋もあった。

取手駅東口近く

背後の小高い丘には長禅寺という臨済宗の寺がある。その丘の縁に、こんな建物が一皮分だけずらりと並んでいるわけだ。
もしかすると、この丘は古くは古墳だったのかもしれないと、勝手に想像をめぐらしてみる。
北関東には、意外に小規模な古墳が点在しており、その跡が寺や神社になっていたりする。

新六本店と田中酒造店

そして、旧水戸街道へ。この区間は常磐線とほぼ直角に走っており、現在の江戸川と並行している。
写真の左側の建物は奈良漬の「新六 本店」、右が「田中酒造店」。並んで建っているのだから、古くは親戚だったのかと、また勝手に想像をめぐらせてみる。
新六の建物の背後には蔵が並んでいた。

旧水戸街道

古い宿場の面影を残す建物としては、旧本陣が残っている。茅葺き屋根の立派な建物だが、内部の見学は金~日曜日だけとのこと。
上の写真は看板建築の商店なので、せいぜい昭和になってからの建築だが、それでもここでは古い建物になっていた。
おそらく、昭和の終わりごろまでは、この道沿いにこうした商家が並んでいたのだろう。

林に飲み込まれそうな建物

長禅寺の丘の周囲をぐるりとまわり、取手ブラタカシも終わろうとしていたところに目に入ってきたこの建物。
沖縄料理店だった。背後の林に建物が飲み込まれようとしているみたいだ。

2022-06-10

取手の飛び地、小堀(おおほり)をぶらぶら

取手の「ふれあい桟橋」から渡し船に乗って小堀(おおほり)に到着。
三日月形をしたこの集落は、利根川の流路変更によって新利根川と旧利根川にはさまれてしまった土地だ。
そして、市境(取手市と我孫子市)も県境(茨城県と千葉県)も昔のままだから、結果的に小堀は取手市の飛び地になってしまった。
つまり、(新)利根川の南岸にあって茨城県であり、周囲を我孫子市に囲まれている。
そんなおもしろい土地だから、かねてから足を運んでみたいと思っていたわけだ。

古利根沼

上の写真は、利根川の流路変更で取り残された古利根沼。蛇行していた川が氾濫によって短絡して、昔の川跡が三日月湖になるのだが、これは人工的にできた三日月湖である。
確かに今の利根川より幅は狭いが、どことなく味わい深い。

小堀の寺

小堀は、かつては利根川の水運で栄えた土地である。川が蛇行していたからこそ積み込み、積み出しに便利だったのだろう。
江戸時代は、ここ小堀と上流の関宿が港として栄えたのだという。

今の集落を歩いていても、昔を偲ばせる商家があるわけではないが、それでも由緒ありそうな寺を発見した。

小堀の寺

寺の敷地に入ると、なにやら不思議な形の灯籠が!
帽子のようにして乗っている石は、ごつごつして穴があいているので溶岩ではないかと思う。

小堀のネコ

梅雨入り直前の晴れ間のなか、さらに小堀をブラタカシ。あじさいが咲きはじめた家の前で、地元のおネコさまにごあいさつした。

さて、古利根沼の南側は千葉県我孫子市になる。成田線湖北駅方面に向かう古利根通りを歩いていると、分かれ道に「足尾山神社」という標識を発見。その先は急な坂道になっていて2、3秒ほど逡巡したが、せっかくだからと坂を登ることにした。

足尾山神社

民家の間を通り抜けて、意外にすぐのところにあったのがこの社殿。実にいい雰囲気だ。

足尾山神社

足尾山神社は、足の病やけがに効験あらたかとのことで、わらじ、靴、サンダル、松葉杖などが奉納(?)されていた。
ここから湖北駅までは20分ほどの道のりである。

2022-06-07

利根川の小堀(おおほり)の渡しに初乗船

あらゆる締め切りから久しぶりに解放された6月2日、前週に水曜運休と知らずに訪れた茨城県取手市の「小堀(おおほり)の渡し」に再挑戦した。小堀と書いて「おおほり」と読む不思議さもさることながら、小堀の集落が利根川の南側にありながら、千葉県ではなくて茨城県取手市の飛び地になっているのが興味深い。

小堀の渡し

小堀が飛び地になったのは、明治末から大正9年(1920年)に行われた利根川改修工事によるものだ。蛇行していた利根川がまっすぐに流れるようになったことで、小堀地区は南岸に取り残された形になってしまった。
そこで、不便を感じた地元の人たちが、対岸の取手市との間に渡し船の運航をはじめたのだという。
上の写真は、利根川北岸にある「取手ふれあい桟橋」という、ちょっと気恥ずかしい名前の乗り場である。

小堀の渡し

渡し船は何か所かで運航されていたが、戦後まで残った1本が1967年になってようやく市営化された。
その後、道路が整備されたことで地元の足としての役目を終え、近年では観光や小学生の社会見学に利用されているそうだ。
乗り場のすぐそばには常磐線の鉄橋が見える。

小堀の渡し

現在運行している船は、2020年に就航した新造船だ。甲板から階段を下りたところにエアコン完備の小さな船室も用意されている。
平日の日中ということもあって、14時35分発のこの便は乗客が私一人という貸し切り状態。200円を払って乗船した。
上の写真は、ちょっぴりアマゾン川の探検に似ていなくもない。

小堀の渡し

晴れた空のもと、10分たらずで小堀の桟橋に到着。ここは利根川の南岸なのに茨城県であり、千葉県我孫子市に囲まれている。

小堀の渡し

小堀乗り場にある小さな待合室。
1日7便が、昼休みを除く日中1時間おきに運航している。

遠くに筑波山を眺める

取手に引き返してもいいのだが、天気もいいし、せっかくなので、江戸時代に水運で栄えたという小堀を見学することにした。
堤防に上がると、遠くに筑波山が見える。この山は形が独特で、しかも周囲に山がない独立峰だから間違えることはない。

船の乗り場や時刻表など、小堀の渡しについて詳しくは、「取手市/小堀の渡し」をご覧ください。

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著書

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  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
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