水路が心地よい福井市東郷の町並み
新装なった福井駅前のバス乗り場で、12時発の62系統東郷線の京福バスを待つ。一乗谷、朝倉館、復原町並みを経由するので、歴史好きらしい中高年のグループも見られる。やがて乗り場にやってきたのは、コミュニティバスのような小型バスだった。
「おや、途中で狭い山道でも通るのか?」と思いながら車上の人となった。
東郷は福井市内にあって宿場町として栄えたのだと聞いていた。もっとも、古い民家や商家は少なく、それよりも街道の中央を走る水路が趣深いという情報を得ていた。
東郷の中心部では降りずに、中心部の東端に近い小安で下車。このあたりは普通の宿場町の町並みだ。上の写真の右にあるのは、ちょっと珍しい外観の造り酒屋。左は眼鏡屋である。
バスを降りて中心部に戻ると、車窓からも見えた足羽川用水(堂田川)が現れる。
よくあるのは、旧街道の道の端近くにちょろちょろと流れる用水だが、ここはそれなりに交通量のある道のまんまんなかに、これだけの幅の水路が流れているのは珍しい。水路をはさんで道路はそれぞれ片側通行になっているから、大型バスじゃ通行できないわけだ。
水路の両側は整備されて散歩道になっていた。右下には河童がコンクリート詰め(!)になっている。それとも風呂に入っているのか?
安全優先の日本には珍しく、水路に柵がないために景観はすこぶるよい。ただ、夜中に酔っぱらって歩いていると水路に落ちる恐れがないでもない。河童に引き込まれないようにという注意喚起……なのかも。
水路には鯉も泳いでいた。水路は浅く、誤って落ちたとしても、よほどのことがなければ溺れることはないだろう。
道路の向こうの駐車場が京福バスの東郷停留所で、小型バスが1台待機している。
東郷地区にはコミュニティバスも走っている。
「トックリ軒」とは、このバス停の前にある食堂。地元ではおいしいと評判の店だそうだ。バスの愛称になっている「おつくね」とは、おにぎりのことらしい。なぜ、おにぎりが名物になるのか不思議だったのだが、どうやらおいしい米がとれるかららしい。
町はずれには越美北線の越前東郷駅もあるが、次の福井行きは2時間半後。停車中のタクシーは、福井から30分後に到着する下り電車を待っているのだろう。駅にも、「東郷名物おつくね」というステッカーが貼ってあった。
列車まで2時間半も待つわけにはいかないので、1時間おきに走っている福井駅前行きの京福バスに乗車。
やってきた小型バスの車内は、一乗谷観光帰りの中高年で満員だった。朝倉館近くに復元された「復原町並み」も見事らしいが、やはり実際に生活感のあるこの東郷の町並みは見てよかった。
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