ロバート・キャパゆかりの地でもあったスペルリンガ
スペルリンガの村(イタリアでは自治体はみなコムーネなので、村も町も市も区別はないのだが)をぶらぶらしていると、下のような立て看板を見つけた。
これは、ロバート・キャパが撮った写真である。キャパといえば、ノルマンディー上陸作戦やスペイン市民戦争などを撮った報道写真家、とくに戦争写真家として有名だが、この村にも来ていたのである。
ときは第二次世界大戦末期。イタリアのファシスト政権はすでに崩壊し、パルチザンを中心にした新政府が占領軍であるドイツに宣戦布告をした。一方、シチリアに上陸した連合軍は、徐々に北上してドイツ軍を追いやっていく。
そんな時期の一場面である。地元の老人が、アメリカの斥候兵(たぶん)に道を案内している。
もっとも、あまりにも構図が決まり過ぎているし、緊張感も感じられない。
やらせとはいわないが、「ちょっと、その姿勢で待っていて。そうそう、中腰がいいなあ」なんていいながらポーズをとってもらって撮影したのではないかと個人的には思っている。
なんて想いながら、ぶらぶらと村の中心に戻ってきた。
狭いながらも国道が走り、バールがある広場である。
階段を降りてくると、そこには親爺軍団が集まっていた。私たちの姿を見てみな微笑んでくれる。
「こんな田舎町までよく来たな」という歓迎の気持ちなのだろうか。
私たちはこの広場でB&Bの若夫婦と待ち合わせをしている。
まだ姿が見えないのでバールでコーヒーを飲んでのんびりしていると、親爺軍団のうちの何人かが店の外でトランプをはじめた。
これが毎日の日課なのだろう。ギャラリーも集まっているのが微笑ましい。
学生時代の雀荘を思い出した。
それにしても、なんとぜいたくな環境。
広場の向こう側には、広々とした丘陵が広がっている。
狭いところに集まってトランプをしているなんて、もったいない!
まあ、そんなふうに思うのは、旅行者の勝手な感想だろう。
ずっとこの環境に住んでいる人は、珍しくもないともない風景に違いない。
生活はけっして便利ではないだろうが、これはこれで幸せそうである。
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