ベレンに足を延ばしてみた
リスボン滞在最終日の朝、サンタ・アポローニャ駅で夕方のコインブラ行き列車の乗車券を買い、コインロッカーに荷物を預けてから、西に6imほど離れたベレン(Belém)に向かった。
初めて知ったのだが、世界遺産「ジェロニモス修道院とベレンの塔」があるベレンは、ポルトガル語で「ベツレヘム」のことなのだそうだ。
リスボン中心部からは、路面電車の15系統、または近郊鉄道のカスカイス線で行くのが便利だということだが、サンタ・アポローニャ駅からはどこかで1回か2回乗り換えなくてはならない。
そこでGoogle先生に一番便利なコースを尋ねてみたところ、なんと駅前から728番のバスに乗れば乗り換えなしで行けるではないか。
本当は鉄道に乗りたいところだが、時間もない。すぐにやってきた連接バスに乗って約30分。ベレンに着いた。
ちなみに、「リスボンカード」を買っていれば、どの交通機関にも乗れる。
さあ、ジェロニモス修道院に突入……と行きたいところだが、妻から待ったがかかった。
修道院の手前にあるお菓子屋──いや、今どきはパティスリーというべきか、「パスティシュ・デ・ベレン」(Pasteis de Belém)という店に立ち寄れと知人から厳命されていたのである。
ポルトガルのお菓子として有名なのはナタ(エッグタルト)。でも、ファロですでに食べていたし、わざわざ行くのかよというのが本音であった。
しかも、店の前は大行列。行列嫌いの私は、それだけで拒否反応が起きていた。
だが、行列ができていたのは持ち帰りの人たちのようで、店内で食べるには勝手に店内で席を探せばよいらしいとわかった。
入口から見える定員30人ほどの部屋は客でいっぱい。……なのだが、不思議なのは奥のほうから次々に店を出てくる人がいること。
「ははあ、まだ奥に部屋があるのか」と思って人をかき分けていくと……。
迷路のような通路の奥に、何百人も入れそうなだだっ広いホールを発見。
そこは、まるで昭和40年代のデパートの大食堂のような雰囲気でああった。
忙しそうな店員をつかまえて、ナタとケーキを注文。飲み物は、例によってヴィーニョ・ヴェルデである。
10分ほどして運ばれてきたナタをひと口食べてびっくり! うまいのなんのって。甘すぎないところは日本人好みの味。さくさくした食感もよく、5つくらいはラクに食べられそうだった。
十分に満足して、その後はジェロニモス修道院を見学。
大航海時代の富をつぎ込んでつくられた修道院は、ただ立派というしかない。
修道院という性格上、豪華絢爛とは少し違うが、大規模な建築物の隅々まで手の込んでいる印象であった。
修道院のあとは、もう一つの世界遺産であるベレンの塔に行くべきだったのだが、あまりの暑さに疲れ果て、「発見のモニュメント」の上にのぼるだけで満足することにした。
リスボンへの帰りは近郊電車に乗ろうと思ったのだが、ホームを間違えるという、鉄道愛好家らしからぬ失態を犯してしまった。
ポルトガルの道路や地下鉄は右側通行なのだが、一般の鉄道は左側通行だったのだ。
次の電車まではだいぶ間があるので、しかたなくまたバスに乗って帰ってきたのであった。
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コメント
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そうです。厳命したでしょ(笑)
おかげで、絶品のナタにありつけました。
確か、レシピのもとは修道院だったんですよね。
念書をとるとはさすが。
投稿: 駄菓子 | 2018-12-23 10:26
厳命したのはワタシ? 他にも誰かが薦めたかな?
ちなみにレシピは門外不出で、配合を知る人は常に3人だそうです。離職の際には念書を取って次の誰かに伝えるのだとか。
投稿: すずめ | 2018-12-23 01:22