リスボン散歩1日目、そして楽しく不思議な出会い
アルファマ地区はリスボンの下町とも呼ばれている古い市街地である。
下町とはいうが、低い丘の上に広がっている。
リスボンは、1755年に起きた大地震で壊滅的な被害を受けたが、そんななかでアルファマ地区だけは比較的被害が軽かったのだそうだ。
だから、昔ながらの入り組んだ路地がつづき、味わい深い町並みを形づくっている。
37年前は、ガイドブックでは治安がよくない地域と書かれていたが、そんな感じはなかった。
建物が古びていて道が狭いので、観光客にはそう見えたかもしれないが、よくよく見れば私が育った昔の東京の下町と変わりない。
人びとの様子は垢抜けなかったが、町は活気にあふれていた。
前回は急ぎ足の貧乏旅行だったので、今回はアルファマ地区に宿をとって、リスボン市内をじっくりと歩き、夜は地元の人が通うようなライブハウスで本物のファドを聞きたいと思っていたのである。
現在のアルファマは、観光客であふれ返る町となっていた。
上の写真は、アルファマの中央部あたりの定点比較写真。
今回の宿は、たまたまこのすぐそばのアパートであった。
ところで、リスボンをじっくり歩くといっても、2泊3日なのが少し寂しい。
本来ならば3泊はしたかったのだが、妻の仕事の都合上、いたしかたなかった。
もちろん、前回来たときに歩きまわったのはアルファマ地区だけではない。
丘を下った都心でも散歩をして写真を撮っていた。
下の写真もその1枚。よく見ると看板に果物屋(FRUTARIA)と書いてあるのだが、なぜか店先に鶏肉がぶら下がっていた。
クリスマスだったから、たまたまなのだろうか。
こんな風景には慣れていなかったので、ビックリして少し離れたところから写した記憶がある。
この果物屋という看板、番地の数字、そして前後の写真の撮影場所を頼りとして、出発前にGoogleマップでここを探し当てるまでには何日もかかった。
それでも、なんと奇跡的に同じ場所で、同じ名前の果物屋が残っているではないか。
都心の繁華街の北側にある一角だ。
現地に足を運んでみると、店頭に親父さんがいたので、iPadミニでこの写真を見せた。
親父さんは、写真を見てすぐにわかってくれたようだ。
英語はあまり通じないようで、例によってイタリア語まじりのインチキポルトガル語風スペイン語と、わかりやすい英語で会話。
店の奥から出てきた奥さんともども大喜びしてくれて、ぜひ送ってほしいという。
もちろん快諾して、ここでも定点写真を撮影した。現在の写真で緑のポロシャツを着ているのが旦那である。
その夜、Google先生の翻訳サイトを活用して、日本語からポルトガル語に翻訳。
さっそくメールに写真を添付して送った。
すると、翌朝に長い感謝のメールが届いたのであった。それによると、彼にとって、まさに当時は古きよき時代だったようだ。
はたして、あんな観光客だらけの都心で、いつまで果物屋を続けられるのだろうか、人ごとながらちょっと心配になるのであった。
その夜、晩飯に選んだのは、ポルトガルに詳しい妻の友人がメールで教えくれた店である。
鶏の丸焼きがうまいというそのレストランは、例の果物屋のすぐそばだった。
けっして高級店というわけではないが、きちんとした仕事をする町の食堂といった風情で、店で働くのは地元の人らしき中年のおじさんたちばかり。その愛想のよさが、店の印象をアップさせてくれる。
(上の写真は、翌日の昼間に撮ったもの)
その庶民的な接客にも満足して、37年前に撮った市内の写真を見せたところ、じっくり見入って喜んでくれた。
私はさらに気をよくして、翌日の夜にファドのライブを聴きたいんだけどと打ち明けてみた。
「おお、うちに元ファド歌手がいるよ。彼はイタリア語が話せるよ。呼んでこよう!」
なんという不思議な巡り合わせだろうか。奥から出てきたその人は、苦み走った雰囲気で、年は私より少し上。若いころはスイスで仕事をしていたことがあるという。イタリア語はそこで身につけたのだろうか。
たちまちのうちに意気投合してしまった。
そして、彼が教えてくれたのは、アルファマ地区にある観光客向けではないディープな穴場の店であった。
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私も、旅行記を書いていると、そのときの感動がよみがえってきて、また行きたくなってきます。
いくら時間とカネがあっても足りませんね!
投稿: 駄菓子 | 2018-12-09 23:36
最近、ヨーロッパでは専らイタリアに行っていますが、ポルトガル旅行記を拝読していると、久々に訪れたい気持ちが高まってきます。
次のご投稿、楽しみに待っております。
投稿: nebbiolo | 2018-12-06 01:17