セビーリャの賑わいと素顔
マドリードから、アンダルシア州の州都セビーリャ(セビリア)までは約2時間半。
しかも、エアコン完備でリクライニングシートという快適な旅である。ちなみに、車内販売では缶ビールを売っていた。
最近のヨーロッパでは、車内でアルコール類を飲んではいけない国が多いが、スペインはよいようだ。
これがなくちゃ、暑い国ではやっていられない。
どうしても、昔の旅と比較してしまうのだが、37年前はこの区間を古いコンパートメント式の客車に乗って移動した。
スピードは今とは比較にならず、行けども行けども乾いた大地が続いていた印象が残っている。
私が乗ったコンパートメントには、中年のご婦人が2人乗り合わせていたっけ。
宿は、セビャーリャの旧市街にとっておいた。狭い路地に面した昔ながらの邸宅を改造したようなクラシックな宿で、こぢんまりとした中庭やそれを囲むアーチ状の柱が、アラブの影響を思わせた。
昔のセビャーリャのことは、ほとんど記憶のかなただが、「住みやすそうだ」という印象を抱いたのは覚えている。
町は大きすぎず小さすぎず、冬だったからかもしれないが、落ち着いた雰囲気なのが気に入った。
イタリアのフィレンツェで学校に通ったあとだったので、「セビーリャにもしばらく滞在して、スペイン語を習ってみるか」と本気で考えた。
結局、お金が底を尽きそうだったので断念したが、無理をすれば1カ月はいられただろう。そうしたら、私の人生は少し変わっていたかもしれない。
では、現在のセビャーリャはどうかというと、記憶のなかの町よりもずっとモダンになっていて、人も多くて賑わっていた。
スペインに詳しい知人によれば、「1992年に万博があってから、すっかり変わりましたよ」とのことだったので、町の雰囲気の変化にはそれほど驚かなかったが、観光客が多いことにはびっくり。
宿を出て、まず向かったのは、万博を記念して建てられた「メトロボール・バラソル」。
5分ほど歩いたところで、行く手に大きな建造物が見えてきた。パラソルというよりキノコというのが第一印象。トップの写真である。
キノコの笠の上に登れるようになっていて、まずは町を見渡した。新しい町を訪れたら、まず高いところに登るという私のモットーが実現できてなによりである。
もっとも、遮るものがないから暑いのなんのって。入場券(登頂券?)が飲物の割引券を兼ねているので、それで飲んだモヒートが全身に沁みた。
その日は、宿に着いたのが4時ごろだったので、当日はあまり町を見られないと思っていたが、さにあらず。
たででさえ西ヨーロッパ時間帯の西端にあって日の入りが遅いうえに、まだ夏時間であった。
4時過ぎでも太陽が中天高くいたものだから、その日のうちに中心部の主な場所は巡ってしまった。
1~3枚目の写真が、観光スポットの集中する旧市街である。
そして、4~6枚目は翌朝に撮った宿の近くの写真。
宿の前にある路地を50mほど歩くと、何の変哲もない、しかし庶民的な界隈に出る。
スペインに到着してから、土曜、日曜と、観光客や地元の若者が夜遅くまで騒々しくしていたのに疲れていたものだから、月曜日になり、朝日を浴びて人びとが働きだした様子が新鮮に感じられた。
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