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2018-10-29

予定外のいきなりコルドバ訪問

セビーリャ旧市街の主だった場所は、着いた日に一通り歩き回ったので、翌日はコルドバに行ってみることにした。
コルドバへまでは高速鉄道ならば、わずか1時間半ほどである。マドリードに少し引き返す形になる。

指定券は券売機で買える。ただし、現金は使えず、クレジットカードもICチップが付いていないと使えない。
券売機は英語表示もあり、発駅、着駅、時刻などを入力するのはイタリアのものと同じ。
ただし、イタリアでは最後にカードを挿入口に入れるのだが、スペインではICチップをかざすようになっていた。

Taberna Bar Santos

コルドバ駅から旧市街のメスキータまでは2kmほど。
われわれはタクシーに乗らず、駅前から15分おきくらいに出ている3番のバスで地元の人たちにもまれながら、メスキータに近い川べりで下車した。
バスの乗り場も時刻表も、Googleマップでもわかるのだから、便利になったものである。

トリウンフォ広場

旧市街に入ったら、まず腹ごしらえ。
出発前に知人から勧められていた「タベルナ・バル・サントス」(Taberna Bar Santos)に迷わず入店した。トップの写真のような親しみやすい店である。

まず、ワインとこの店の名物のトルティージャ・デ・パタタ(スペイン風オムレツ)を注文。
さらに、隣の人が食べていたメニューの名前を図々しく尋ねて、それも注文した。
ジャガイモのアーリオ・オーリオであった。イモが重複してしまったが、わざわざ名前を聞いた以上、頼まないのも申し訳ないと思う、日本人の私であった。

上から見たメスキータ

腹ごしらえをしたら、いよいよメスキータに突入。
前回と違ったのは、塔の上から全体を見下ろせたことだ。それが、上の写真。あとから増改築したキリスト教会の部分がアンバランスである。

そして、内部は動画で撮ってみた。アーチの柱にしても、壁の幾何学模様にしても、まさにイスラム建築。
かつては、この広々とした場所で礼拝をしていたのだと思うと感慨深い。

記憶では、静謐といった雰囲気がぴったりだったのだが、さすがに世界遺産となって観光客が次々に訪れていてざわざわしていた。

内部の何割かはキリスト教会になっていたが、やっぱり違和感がある。
16世紀に、このモスクの一部を教会に改造すると発表されたときに、コルドバ市民が大反対したというのもよくわかる。
かつての異民族、異教徒支配の名残とはいえ、その芸術的価値を理解していた人びとに敬意を表したい。

そのあとは、白い家々と細い路地が続く旧ユダヤ人街をぶらぶら。
歴史的なシナゴーグ(ユダヤ教会)は改装中で入れなかったが、その近くに「セファルディの家」(Casa de Sefarad)と呼ばれる小さなユダヤ博物館があった。

セファルディの家

イスラム教徒の支配者たちは、商売の上手なユダヤ人を呼んで、町や国を栄えさせたという。
ところが、キリスト教徒によるレコンキスタ(再征服)が完了すると、やがてイスラム教徒やユダヤ教徒、そして改宗したイスラム教徒らに対する異端審問が行われ、多数の追放者や処刑者を生んでしまう。

この博物館では、ユダヤ教徒の知識人たちの伝記とともに、そうした悲しい歴史について記されていた。
受付にいた物腰の柔らかなイケメンのお兄さんは、ユダヤ人のインテリなのだろう、各国の観光客にそれぞれの国のことばで対応しており、片言ではあるがきれいな発音の日本語も話してくれた。

アンダルスの家

この写真は、セファルディの家の近くで公開されていた「アンダルスの家」(La Casa Andalusí)。こちらも、セファルディの家と同じく、イスラム風の美しい中庭をもった白い家である。

1981年の旧ユダヤ人街

37年前に、この地区を歩いたとき、白壁の向こうにちらりと美しい中庭をかいま見た。
ぜひとも、中に入って見てみたいと思いつつ撮ったのが最後の写真である。
入ってみたくなるでしょ!

残念ながら、そのときは公開されている家はなかったのだが、その望みがようやくかなったわけである。
これを見ただけでも、いきなりコルドバに来たかいがあったというものだ。

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コメント

海外の銀行のATMは心配ですよね!
ただ、イタリアの鉄道の券売機は、差し込むけれども奥までは入らないので、いつでも取り出せるのは安心な要素です。

券売機でのクレジットカード使用の際、カードが飲み込まれるタイプは返却されない不安があるので、ICチップをかざす方式のほうが安心感があります。

何故かまだ未訪問のスペイン、是非訪れたいと思っています。

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