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2017-06-17

インドネシアで鉄道の切符を手に入れるまで

インドネシアでは、鉄道の切符を買うまでが一苦労だった。
一番簡単なのは、出発直前に駅の窓口で買う方法だが、スラバヤのような大きな駅だと、窓口に長~い行列ができていて、切符を手に入れるまで1時間もかかることが珍しくないという。

それでは困るので、事前に予約することになるのだが、そこにもまた問題が。
事前予約の方法はいくつかある。
1. ネットの予約サイトを利用する。
2. 駅の切符予約機を利用する。
3. コンビニの情報端末を利用する。
4. 旅行代理店を利用する。

スラバヤ駅の窓口の行列

まず、日本国内で1を試してみた。
だが、インドネシア国鉄のサイトではすべてインドネシア語表示だったので断念。
次に、ガイドブックやネットでも紹介されているTiket.comというサイトにアクセス。英語もあるので無事に列車も決めて、さあクレジットカードで支払い……という段になって受け付けてくれない。
何度やってもだめなのだ。

いろいろと調べてみると、どうやら最近になってインドネシア国内で発行されたクレジットカードでなくてはだめになったようだ。同じVisaカードでもインドネシア国外発行のものは使えない。

この時点で、最初のバニュワンギ~スラバヤだけは、ラジャアンパットの知人にお願いして予約しておいてもらった。

駅の切符予約機

そして、スラバヤ以降の切符を買おうと思って、バニュワンギ市内のコンビニの情報端末を使ってみたのだが、なぜかここも最後の最後で受け付けてくれなかった。
やむなく、スラバヤ駅に着いてすぐインフォメーション窓口で予約をお願いしようと思ったら、セルフサービスの切符予約機を使えという。
そうしてたどりついたのが、上の写真の予約機である。

ちなみに、インドネシアの長距離列車の切符は実名制だ。これは、ダフ屋を排除するための措置なのだという。
おかげで、パスポート番号(インドネシア人ならばIDカード番号)やら携帯電話番号も入力しなければならない。

ところがである。パスポート番号を入れようとしても、冒頭のアルファベットを受け付けてくれないのだ。
──これは困ったぞ。
インドネシア人のIDカードは数字だけだからいいが、日本のパスポートはアルファベットではじまるのだ。

──どうすりゃいいんだ!
と、困り果てたところで、ピンとひらめいた。
──そうか、ダフ屋を防ぐための制度なんだから、本人だとわかればいいだけのこと。どうせ改札では写真入りのパスポートを見せんだし、ここでは数字の部分だけ入力すれば十分だろう。

駅のチェックイン機

セキュリティが目的の空港での厳密なチェックとは違うのだから、確かにその程度でいいのだった。
しかも、このときは私の後ろに何人もの人が並んでいて、あせって名前の「Takashi」を「Taashi」と入力したことをあとで気づいた。でも、何も問題はなかった。

予約機の横には、写真のように係員がたいていついているので、困ったときには英語で相談できる。
それでも、クレジットカードが使えないのは参った。
2人で何十万ルピア(実は何千円)という金額のために、5万ルピア紙幣を延々と投入しなければならなかったのである。
(しかもお釣りが出てこないので、ある程度細かい紙幣も持っていないともったいない)

スラバヤ駅の時刻表

すべて受け付けられると、最後にぬるぬると長いレシートが出てきた。
それが予約票である。
(この予約票だけでは乗れないので要注意)

当日になって、駅のチェックイン機(3枚目の写真)に、セルフサービスで予約票のQRコードをかざすか、印刷されている予約番号を入力することで、晴れて乗車券が印刷されてくるのである。
これを持って、パスポートとともに改札の係員に提示すればいい。

コンピニの端末で「i-tiket」を選べば、同じように予約票が購入できる。
やはり、パスポート番号のアルファベットを入れないのがコツということもわかった。
画面はインドネシア語しか出てこないが、インドネシアの若いコンビニ店員さんはみな親切なので、手伝ってくれるはずだ。
コンビニならばクレジットカードも使える。

ここに書くと、まずまずスムーズに進んだように見えるが、あっちに聞いたりこっちに聞いたり、ああしたりこうしたり、いやはや大変な試行錯誤の連続だったのである。

待合室のライブ音楽

スラバヤ駅は大混雑かもしれないからと、発車時刻である9時15分の1時間も前に駅に着いたものの、チェックインも改札も拍子抜けするほどスムーズ。
あとは待合室で延々と時間を過ごすこととなった。

上の写真は、改札内の待合室で朝っぱらからやっていた、キーボードのライブ演奏。
ヘジャブをかぶった白装束の女性が奏でる音楽ということ、何やら宗教っぽい音楽かと思うかもしれないが、日本のニューミュージックのような軽やかなメロディに、明るく張りのある声で歌っていた。

無料足マッサージ機

この写真は、改札外の待合室に設置されていた足マッサージ機!
なんと無料で使える。
おばさんたちが気持ちよさそうに居眠りをしていた。

そして、発車時刻が近づくと案内放送があって、三々五々ホームへと歩きだす。
まあ、全車指定なので、あせって急ぐ人もいない。

待合室からホームへ

通路のかたわらには、乗り場と列車名が記されたボードが置かれていた。
乗るのは5番線の「ランガージャーティー号」。スラバヤ発ジョグジャカルタ経由チルボン行きである。
この列車に乗って、古都のソロまで4時間あまりの旅が始まる。

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コメント

キロメートル切符という表記は適切でなかったかもしれません。
私が利用していたのは券面に有効キロ数が記されている中・近距離用の無期限(covalidaして使用)かつ1回限り有効の切符でした。

かつて普通切符は購入した日から2か月か3か月有効だったと思いますが、現在は指定した1日限り有効で、なおかつ以前と同様に時間制限があるという方式になったので、融通が利かず不便ですね。

キロメトリコをお使いになったことがあるんですか!?
私は結局、面倒くさがりなので使わないうちになくなってしまいました。

普通切符は使い方が厳しくなりましたね。有効期限1日限りというのは、発売から1日ということでしたっけ。以前はパンチ(Timbrare)しなければ発売から何カ月か有効だったのですが……。

去年行ったら、パンチしてから4時間だか6時間だかと切符に書かれていてあせりました。
忘れるといけないので、乗るだいぶ前にパンチしたら、終着駅に着いたときには微妙に時間切れ!
もっとも、検札に来た車掌も、さすがにそんな細かいことには文句をいいませんでした。

おっしゃる通り、イタリアのFSは自動券売機が多くの駅に設置されるようになって、助かっています。
その一方、かつてタバッキやedicolaで購入できて重宝したキロメートル切符が廃止されたり、普通乗車券の有効期限が一日限りになってしまったのはかなり不便ですね。

あー、昔の中国で切符を買うのは大変だったようですね。
マレーシアでもそうですか。
イタリアでは自動販売機が普及して、ずいぶん楽になりましたね。
今でも、窓口ではずいぶんな行列を目にしますが。

四半世紀以上前の中国で、2日がかりで夜行列車の切符を買ったことをふと思い出しました。
数年前にクアラルンプールから日帰りで北方の都市へ出かけたときの切符の入手も、えらく手間がかかった記憶があります。

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著書

  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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