天国のラジャアンパットから下界のソロンへ降りる
「せっかく行ったんだから、もっと長くいればいいのに」という一部の声もあったが、ラジャアンパットにある知人の仕事場からは3泊で撤収。友人夫妻と別れを告げ、ここからは妻と二人旅となる。
行きとは逆コースでワイサイまでモーターボートで2時間、ワイサイからソロンまでは高速船で2時間の旅である。
インドネシアの島を結ぶ船というと、しばしば沈没とか火災とかがニュースになるので、やや恐れていたが、それは古い木造フェリーの話らしい。
少なくとも、ワイサイからソロンまでの船は、金属でできている旅客専用の高速船なので心配ないようだ。
運賃は一般船室が1300円ほど、私たちが利用したエアコン付きのVIP船室(!)は2000円ほどである。
ソロンの町はパプア(ニューギニア)島の北西端にあり、人口20万人を超える大都会である。
船の上からは派手な色合いのモスクが目立つが、キリスト教徒も多く、立派な教会もいくつかある。
先住民系の人たちはキリスト教徒が多く、観光地での仕事を求めてインドネシアじゅうから集まってきた人たちはイスラム教徒が多いとのことだ。
さて、ソロンの港に着くと、タクシーやバイクの客引きが山のように出迎えてくれる。
天国のようなラジャアンパットを思い出すと、まさに「下界に降りてきた」という印象である。
空港までは車で15分ほどかかり、暑いなかを大荷物を引いて歩ける距離ではないので、知人が出迎えを頼んでおいてくれたはずなのだが、とうとう出会えなかった。
タクシーといっても、そのほとんどすべてが8人ほどが乗れるワゴン車。
料金を聞くと10万ルピア(900円ほど)と口を揃えるのは、知人やネットで知った相場と同じである。
ジャワ島のタクシー料金とくらべれば、とんでもなく高いのだが、ここも辺境・観光地料金のようだ。
しかたがないので、最後の最後あたりにいた人のよさそうな運転手に、「2人で、これだけの荷物があるけど、全部で10万ルピアでいいんだよね」と念を押して空港まで運んでもらうことにした。
3日前に空港から港まで乗せてもらった車は、バイパスのような広い道を通ってきたが、せっかくだから町の中心部を見たい。
船の中で必死になって覚えた「私は町を見たい」というインドネシア語を口にすると、彼はにっこり笑って了解してくれたようである。
町の中心部に入ると、運転手は「ジャランジャランする(散歩する)?」と聞いてくれているようなのだが、蒸し暑いし車も多いしで、そんな気分にもならない。
不精をして、タクシー(という名のおんぼろワゴン)の窓から、町の様子を撮影することにした。エアコンがないので、窓が開けっ放しなのが幸いである。
中心部にはさまざまな露店が軒を連ねていたが、上の写真のTシャツは怪しさ満点だ。
それぞれ、「賢 死 愛」「死 愛 父」「良 男 金 朝 犬」という漢字が書かれたTシャツもあれば、韓国の国旗の下になぜか「ノラスィチ」というカタカナが書かれたTシャツも見える。
この写真は小学校のようである。
オレンジ色のシャツに、白い半ズボンやスカートという、おしゃれな制服に身を包んだ子どもたちが、元気に遊んでいた。
ソロン空港からは、バティックエアに乗ってスラウェシ(セレベス)島のマカッサルへ2時間半ほどの旅である。
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