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2017-05-27

スラウェシ島でひと休み

パプア島のソロンから向かったのはスラウェシ島の南西端にあるマカッサルである。
かつて、スラウェシ島はセレベス島、マカッサルはウジュン・パンダンと呼ばれていた。
セレベス島に来ることがあるなんて、世界地図を見ることが好きだった小中学生時代には想像もしなかった。

とはいえ、夕方15時半にマカッサル空港に着いて、翌朝6時に出発するというスケジュール。要するに、ジャワ島の目的地に一気に行く時間がなくて、ここでひと休みという寸法である。
このことをSNSに書いたら、「マカッサルまで行って、なぜトラジャを訪問しないんだ」とお叱りを受けたが、今回の旅の目的が別のところにあるのでしかたがない。

ホテルも空港内にとったのだが、せっかくだからここの町なかを見てみたいということで、空港から1300円ほどの定額タクシーで都心に向かった。

ロッテルダム要塞の城壁上

タクシーの運転手に頼んだ行き先は、町の中心にあるロッテルダム要塞。
いかにもオランダ統治時代の名残の名称である。
さして高くない城壁の内側には、いかにもヨーロッパ風の建物と緑地が広がっていた。

中に入ろうとすると係員に呼び止められ、管理室のようなところに招かれた。
正面には偉そうな人が座っていて、机の上に芳名帳のようなものが乗っている。
どうやら、そこに名前を書いてくれということらしい。

名前を書いて、さあ入場料は……と聞いてみると、彼は「ドネーション」という。
いくらでもいいと言われると、かえって悩んでしまうのだが、ポケットにあった小銭を置いてきた。

今から考えると、ちょっとケチくさかった。
あれだけの規模の史跡を維持するには、かなりのカネがかかるはず。
だが、まだ日本円の約100倍の数字が書かれたインドネシア・ルピアに慣れておらず、1万ルピアさえもったいないと思ってしまうのであった。

マカッサルの「椰子の実通り」

ちょうど仕事や学校の帰りなのだろう、要塞の内部では若者のグループやカップルが散歩をしていた。
トップの写真はそんな一組。
ここでも、自撮り写真は盛んなようである。

日が暮れないうちに町の様子を見ようと、ロッテルダム要塞を出て海岸沿いの道を早足でぶらぶら。
この道には食事ができる露店が軒を連ねていて、どの店頭にも写真のような椰子の実が積み重ねられている。
そこで私は、この一帯を「椰子の実通り」と勝手に名付けた。

マカッサルの中心部

その昔、インドに行ったときには、「水は当たるかもしれないから、喉が乾いたら椰子の実のジュースを飲むといい」と言われて実践していたものだった。

ここでも飲んでみたかったのだが、まあ味も知っているし先を急ぐのでスルー。

川べりの露店では、ぼつぼつ客が集まりはじめていた。
心地よい風も吹いていい気分である。
セレベスというと、南方の灼熱の土地にあって、おんぼろな家が続くイメージかもしれないが、このマカッサルの川沿いは近年になって整備されたようで、都会的なセンスの散歩道と広場が連続して、市民の憩いの場となっていた。

川沿いの青空飲食街

さて、我々も晩飯をどこでとろうかということで、ネットと妻に相談。
露店でも悪くはないのだが、落ち着いて食べたいし、ビールも飲みたい。
だが、スラウェシ島南部は敬虔なイスラム教徒が多いと聞いていたので、露店でビールを飲むことはまず不可能である。

レストランでも難しいかなと思いつつ、海の幸がおいしいという評判の立派なレストランに行ってみると、うれしいことにメニューにビールがあった!
どうやら、ほかの大きなレストラン同様、ここも華人の経営のようである。

やはり、暑い土地ではビールがうまい。
2人でビンタンビール大瓶を2本飲み、極上の海の幸をあれこれと食べて、勘定は全部で2000円ほどという驚くべきコストパフォーマンス。
繰り返すが、露店ではなくて、立派な建物のレストランである。
店の入口付近には冷蔵ケースのなかに鮮度のよさそうな魚が並べられていた。

川沿いの散歩道

ところで、スラウェシ島の形を地図で見るたびに、思い出すものがある。
それが、1956年に公開された『宇宙人東京に現わる』という映画に登場した宇宙人の姿だ。
もちろんリアルタイムで見たわけではないが、その昔、映画館で若き宇津井健主演の特撮映画『スーパージャイアンツ』と2本立てで観てどちらも衝撃(笑撃?)を受けた記憶がある。
ほら、似てるでしょ。

スラウェシ島と『宇宙人東京に現わる』

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