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2015-09-04

古代ギリシャの残り香 アグリジェント

後ろ髪を引かれる思いでシャッカをあとにして、向かったのはギリシャ遺跡で有名なアグリジェント(Agrigento)。
バスで1時間弱の道のりである。

シャッカ郊外

ここまでは、トラーパニ、マルサーラ、シャッカと、アラブの雰囲気か色濃く残るシチリア西部の町をめぐってきたが、アグリジェント周辺はギリシャの影響が強い町である。
もちろん、ノルマン時代の遺跡やら、スペイン支配の名残もあったりして、だからシチリアはおもしろい。文字通り、文明の十字路なのだ。

アグリジェント駅

と、偉そうにいっているが、個人的には古い遺跡よりも、今の町の様子やそこに住む人を見るのが好きである。
まあ、そんなことは、2007年に訪れたときのブログ記事神殿もいいけれど・アグリジェントにも書いたっけ。

アグリジェント市街

町の目抜き通りには、アテネア通りという名前がついていて、いかにもギリシャの影響を思わせるが、1泊だけで通りすぎるような観光客には、町なかにギリシャっぽさはあまり感じられない。

イタリア国内でギリシャっぽさを競うならば、2006年に訪れたカラブリア州南部のボーヴァに勝る町はないだろうなあと思う。
なにしろ、あっちは今でもギリシャ語の方言を話しているというのだから筋金入りである。

コンコルディア神殿

そうはいっても、アグリジェント初訪問の妻がいるから、どうしても神殿の谷見学は外せないところである。
ちょうどいい具合に日が傾き、コンコルディア神殿は西日を正面に浴びていた。
夕方になると観光客の数も減ってきて、のんびり見ることができたのはよかったといえよう。

アグリジェント市街遠景

とはいえ、やはり私にとっては、遺跡から見えるアグリジェントの市街地に心ひかれるところである。
それが、上の写真。

そうそう、この町では、シチリアに来て初めて日本人に会った。
1組2人だけだけど。

アグリジェント市街

アグリジェントの宿は、旧市街の狭い道(上の写真)に面したB&B。外から見ると狭苦しいようだが、中庭もあってこぎれいな宿だ。
ようやく、イタリアでもこうしたB&Bに泊まれるようになったのは喜ばしいことである。

もっとも、B&Bが増えたきっかけは、どうやらイタリアの経済低迷のようだ。
ここアグリジェントの宿は、地元の奥さんやお姉さんが中心で運営していたし、トラーパニのアパートは地元の兄弟が運営していた。
いかにも素人っぽくて不慣れと見える点もないことはないが、ホテルにはない親しみやすさが魅力である。

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イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

nebbioloさん、お返事が遅くなりました。
アブルッツォにまた行きたいと思っていますが、L'Aquilaの復興はまだなんですね。

再度のお返事有難うございます。
教えて頂きたいことがありましたらお言葉に甘えて質問差し上げるつもりです。

L'Aquilaを訪れてきました。
再建・新築工事があちこちで行われており、震災後に新築されたと思われる建物も見かけるものの、旧市街は被災して放置されたままの住居が殆どという印象で、生活の息吹を感じ取ることはできませんでした。

アグリジェントは大きな町で坂も多いので、町外れに泊まると大変そうですね。
さて、スルモーナを拠点にアブルッツォをまわられたとのこと、いいところですよね。拙ブログが役に立ったとのことで喜ばしい限りです。
次回の旅でも、何かご質問があれば、ご遠慮なくどうぞ。
わかる限りはお答えします。

お返事有難うございます。

約14年前、アグリジェントで泊まった宿が街外れにあり、チェントロに出るためのバス停探しに苦労したことを記憶しています。

実はAbruzzoに行ってきました。Sulmonaを拠点に動いたのですが、以前書かれたブログの記事に随分とお世話になりました。感謝申し上げます。

nebbioloさん、こんにちは。はじめまして、かな?

B&Bの増加と経済低迷とが関係しているかどうかの裏付けはとれていませんが(笑)、経済が低迷していることで、一般の人が自分でものを売ったり、サービス業をはじめたりというが増えてきた話は聞いています。

B&Bが増えたのも、たぶんその流れで間違いないのではと思います。
シチリアは大きな島ですし、交通が不便なところが多いので、これまで4回ほど行きましたが、まだ表面をなでた程度です。じっくり腰を据えてまわりたいですね。

14年程前にシチリアを旅したことがあります。
懐かしい地名や風景を見ると、再訪したいという気持ちが湧いてきます。

イタリアを最初に訪れてから20年足らずになりますが、B&Bに宿泊したのは数年前のエミリア・ロマーニャが初めてでした。どんどん増えているという印象はありましたが、やはり経済低迷が関係しているんですね。

実は近々、またイタリアでB&Bに泊まる予定なんです。

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著書

  • 辞書には載っていない⁉ 日本語[ペンネーム](青春出版社)
  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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