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2015年9月の3件の記事

2015-09-07

趣深いシチリア南岸のバスの車窓

旅から帰ってきて印象に残っている光景というのは、目をこらしながらじっくり歩いた町の様子や、町のバールやレストランで出会った人びととの交流はもちろんなのだが、一つの町から次の町までの移動の間に、車窓から見えた名前も知らない町の風景だったりする。

とはいえ、バスの窓から見えるのは一瞬だから、旅から帰って時間が経つと、だんだんと記憶が薄れていくのが普通である。
だが、それがなんとなく惜しいと思い、最近ではバスの先頭に陣取って、印象的な町の風景を撮るようになったのだ。
今回は、そんな写真のいくつかを紹介したい。

パルマ・ディ・モンテキアーロ

2014年9月19日は、アグリジェントからモディカ(Modica)まで、100km以上の移動となった。
まずは、アグリジェント11時発、SAL社のバスでリカータ(Licata)へ。
その途中にあったのが、パルマ・ディ・モンテキアーロ(Palma di Montechiaro)という丘上の町。
上から順に3枚の写真がそれである。

ちなみに、生ハムやチーズで有名なエミリア・ロマーニャ州のパルマとは関係がない。あちらの綴りは、Parmaだが、こちらは「手のひら」と同じPalmaである。

パルマ・ディ・モンテキアーロ

国道を左折するとまもなく、バスは急坂を登る。そして、とても大型バスが通るとは思えないような狭い道を、右に左に曲がると、いきなり目の前に上の写真のようなシチリア・バロック洋式の見事な教会が現れた。

帰国してから調べてみると、聖母教会(キエーザ・マードレ)とのことで、現在は手前の部分が工事中だが、本来は教会前に階段があって、それはそれは素敵な空間のようだ。

パルマ・ディ・モンテキアーロ

そして、再び狭い道を左右に曲がった末にバスが停車したのが、この小さな広場。
これもあとから調べたのだが、この町の人口は約2万4000人というから、結構な規模である。

でも、本当に狭い道ばかり。そして、中心のバス停が、この味わい深い小さな広場というのが興味深かった。次回は、ぜひ途中下車して再訪したい町である。

リカータ

アグリジェントから1時間、ちょうど12時に到着したのがリカータの町。こちらは、街道が町を貫いているので交通量の多い広い道もあり、もちろんバスターミナルもある。
とくに観光地があるわけではないが、港もあってそこそこ町は賑わっている。
こんな町にマフィアが多いんじゃないかな、とふと思った。もっとも、それはあくまでも私の想像なので、軽々に信用しないように。

さて、ここから鉄道に乗れば、ジェーラ(Gela)乗り換えで、今日の目的地のモディカ(Modica)まで行けるはずなのだが、駅に行ってみるとやはり列車はバス代行になっていた。
必死になって貼り紙を解読すると、代行バスの停車場は駅近くの表通りにあるというのだが、はたしていったいどこにあるのか。

リカータのバスターミナル

あっちのバールで聞き、さっきのバスターミナルに戻って聞いたのだが、どうも要領を得ない。
もっとも、代行バスじゃなくて、通常の路線バスもジェーラ行きがあるので問題はないのだが、この代行バスに乗れば、ジェーラで確実にモディカ行きに接続できるのだ。
路線バスのジェーラ行きは、ジェーラでの接続時間が15分しかないので、イタリアでは非常に不安なのである。

どうやら、駅にたたずんでいた南インド系と思われる青年も、この代行バスに乗るらしいことを突き止めて、奇跡的に代行バスを見つけることができた。
それは、言われなくては絶対に気づかないミニバス……というよりもワゴン車であった。確かに、小さく代行バスの貼り紙がしてあったが……。

ミニバスの乗客は、結局われわれ2人とそのお兄さんの3人。そこに、運転手1人と車掌役1人がいて、総勢5人。狭い車内に大きな荷物を持ち込んで身動きがとれなかったので、残念ながら写真を撮る余裕がなかった。
でも、茫漠とした野原を、イタリア人の運転手と車掌、南インド系の青年、日本人夫婦を乗せたミニバスが疾走していく様子は、今も瞼の裏にしっかりと残っている。

コミゾ

さて、ジェーラに着いたら一安心。ここからは、7年前にバスでモディカまで乗ったことがある。
前回は工事のために代行バスになってしまったが、今は列車が走っているので、今回こそはラグーザ~モディカの雄大な車窓が眺められるぞ……と期待していた。

ところがである。何の因果か、私たちの乗る14時24分発の列車は、またもや代行バスになってしまった。
なぜか、また工事のためらしい。どうやら、列車に確実に乗るには、朝夕の通勤通学の時間に来るのが正解のようだ。
ちなみに、乗換時間がないために避けたリカータ発の路線バスだが、きちんと時刻通りにジェーラに着いたようで驚いた。
まあ、いいか。ミニバスでおもしろい体験ができたし、ジェーラ駅の構内のバールでゆったりとワインを飲むことができたから。

モディカ


というわけで、残念ながらまたバスなのだが、まあこれはこれでおもしろい。
代行バスの運転手は、国道で一直線にラグーザやモディカに行く道は知っていても、いちいち途中駅の駅前に立ち寄るルートは不案内らしい。
国鉄(イタリア鉄道)の社員らしきおじさんがそばについて、「次の道を左」だとか「駅に客が待っているかもしれないから、クラクションを鳴らしてみて」とアドバイスしている。

どこかの町だったか、とうとうそのおじさんも道に迷ってしまったようで、旧市街の狭い道で立ち往生。近くにいた車の運転手や地元の人に道を聞いていた。急がない旅なので、こんなのを見ているのもおもしろい。

モディカ


ジェーラ出発時には20人近くいた乗客も、一人降り、二人降りして、コミゾを過ぎるともう私たち2人だけ。
ラグーザからモディカに向かう雄大な景色を、のんびりと眺めることができた。

終点のモディカ駅は町外れ。田舎の路線バスならば、たいていどこでも途中で降ろしてくれるのだが、国鉄代行バスはそうはいかない。その日に泊まる宿の前をすーっと通りすぎて、坂下に位置する駅に16時20分すぎに到着した。

最後の写真は、モディカ駅前でバスの運転手をパチリ。お疲れさまでした。

2015-09-04

古代ギリシャの残り香 アグリジェント

後ろ髪を引かれる思いでシャッカをあとにして、向かったのはギリシャ遺跡で有名なアグリジェント(Agrigento)。
バスで1時間弱の道のりである。

シャッカ郊外

ここまでは、トラーパニ、マルサーラ、シャッカと、アラブの雰囲気か色濃く残るシチリア西部の町をめぐってきたが、アグリジェント周辺はギリシャの影響が強い町である。
もちろん、ノルマン時代の遺跡やら、スペイン支配の名残もあったりして、だからシチリアはおもしろい。文字通り、文明の十字路なのだ。

アグリジェント駅

と、偉そうにいっているが、個人的には古い遺跡よりも、今の町の様子やそこに住む人を見るのが好きである。
まあ、そんなことは、2007年に訪れたときのブログ記事神殿もいいけれど・アグリジェントにも書いたっけ。

アグリジェント市街

町の目抜き通りには、アテネア通りという名前がついていて、いかにもギリシャの影響を思わせるが、1泊だけで通りすぎるような観光客には、町なかにギリシャっぽさはあまり感じられない。

イタリア国内でギリシャっぽさを競うならば、2006年に訪れたカラブリア州南部のボーヴァに勝る町はないだろうなあと思う。
なにしろ、あっちは今でもギリシャ語の方言を話しているというのだから筋金入りである。

コンコルディア神殿

そうはいっても、アグリジェント初訪問の妻がいるから、どうしても神殿の谷見学は外せないところである。
ちょうどいい具合に日が傾き、コンコルディア神殿は西日を正面に浴びていた。
夕方になると観光客の数も減ってきて、のんびり見ることができたのはよかったといえよう。

アグリジェント市街遠景

とはいえ、やはり私にとっては、遺跡から見えるアグリジェントの市街地に心ひかれるところである。
それが、上の写真。

そうそう、この町では、シチリアに来て初めて日本人に会った。
1組2人だけだけど。

アグリジェント市街

アグリジェントの宿は、旧市街の狭い道(上の写真)に面したB&B。外から見ると狭苦しいようだが、中庭もあってこぎれいな宿だ。
ようやく、イタリアでもこうしたB&Bに泊まれるようになったのは喜ばしいことである。

もっとも、B&Bが増えたきっかけは、どうやらイタリアの経済低迷のようだ。
ここアグリジェントの宿は、地元の奥さんやお姉さんが中心で運営していたし、トラーパニのアパートは地元の兄弟が運営していた。
いかにも素人っぽくて不慣れと見える点もないことはないが、ホテルにはない親しみやすさが魅力である。

2015-09-01

シャッカで映画「誘惑されて捨てられて」の舞台めぐり

シャッカ(Sciacca)は、1964年に公開されたイタリア映画「誘惑されて捨てられて」(原題:Sedotta e abbandonata)の舞台になっている。
なんとも身も蓋もない邦題だが、「鉄道員」や「刑事」など、古いイタリア映画ファンには懐かしいピエトロ・ジェルミ監督の映画で、シチリアの古い慣習に対する風刺がテーマとなっている。

何年か前、その映画のタイトル部分がYou Tubeにアップされていることを、知人のM杉氏から聞いた。
それが、下の動画である。
すぐに音楽が鳴り出すので注意

カルロ・ルスティケッリの哀愁ただようメロディとともに、半世紀前のシャッカの旧市街が描かれて、心臓の奥がキュッと収縮するような魅力を感じる。

せっかくシャッカに行くのだから、この動画に描かれた場所を尋ねてみようと思い、日本にいるときからグーグルストリートビューで場所の見当をつけておいたのである。
それぞれの写真のコメントの最後に付けた数字は、緯度と経度である。これをコピーしてグーグルマップの入力欄に入れると、その場所が示される。

ただ、冒頭に登場する場所はわからなかった。坂がなくてこんな広々とした交差点は旧市街にはなかったような気がする。
それはさておき、すべて計算されているのだろう、馬と歩行者と自動車(フィアット チンクェチェント)が行き交う間合いがじつに見事。
*その後、M杉氏の指摘により、一番下で紹介するバディア・グランデ教会前の広場から、真南の方向を見て撮ったものだと判明。周囲の雰囲気がまるで変わってしまっていたので、不覚にもわかりませんでした……。
37.510399, 13.085289

シャッカ旧市街

0:10~
ステファニア・サンドレッリが上ってくる階段である。
旧市街のなかでも古い地区なのだろうか。一番ごちゃごちゃした地区から、旧市街中心の広場に達する階段だ。遠くに海が見える。
37.509165, 13.084856

シャッカ旧市街

0:23~
坂を上ってくる道が、城跡下の尾根道と交差して階段となっているところ。
遠近感がなかなかいい。
ちなみに、前の場面からはかなり場所が飛んでしまっているが、そこはフィクションなので目をつぶろう(笑)
37.508708, 13.086931

シャッカ旧市街

0:29~、0:36~
ここでまた下に少し降りてしまった(笑)
ここは、連続する2つの場面で方向を変えて使用されている。
写真中央右の縦長の細い窓の建物(小さな教会?)が、どちらにも登場するのでわかる。
0:29からの場面では、その建物から遠ざかっているのに、0:36の場面では右から左へ横切っていくのがおもしろい。
ぐるっと1周してきたのかな。
小さな橋の上で、向こうから車がやってくるタイミングも絶妙。
37.507871, 13.086122

シャッカ旧市街

0:57~
いよいよ旧市街の中心部に向かう。
この前のシーンから道順を調べていくと、まっすぐな道を歩かないで、左右に路地を行ったり来たりしていることになるのが、またおもしろい。
もちろん、映像を見てそんなことがわかるのは、地元の人くらいだろうが。

道の突き当たりに見えるのが、次のシーンでも登場するバディア・グランデ教会。
映画では鐘楼の窓がいくつか埋められているようだ。
37.509807, 13.085894

バディア・グランデ教会

1:00~
大きな広場の中心に位置するバディア・グランデ教会。
この教会をバックに、ステファニア・サンドレッリのアップが続く。
37.509881, 13.085125

映画のロケ地めぐりや小説・マンガの舞台めぐりなどというのは、あまりやらないのだが、たまにやってみるとおもしろいものである。

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