立派な観光地になったトラーパニ
そういえば、昨年(2014年)秋のイタリア旅行の話が途中だった。
もう、ほぼ1年たってしまったけれど、恥ずかしながら続きを。
9月13日の真夜中、トリノから飛行機でシチリアのパレルモに到着。
パレルモで一泊したのち向かったのは、シチリアの西端に位置するトラーパニ(Trapani)である。
ここに3泊して、さらに西に浮かぶエガディ諸島や、町の東に隣接するエリチェを訪れるという寸法だ。
前回トラーパニにきたのは2000年だから、14年ぶりということになるが、その間に町はすっかり変わっていた。
当時は旧市街を縦横に走る狭い路地がいかにも怪しげで、治安にも問題があると言われたトラーパニだが、今回訪れてみると観光客がずいぶんいて、あちこちにワインバーもできていた。
とくに、メインストリートのジュゼッペ・ガリバルディ通りやヴィットリオ・エマヌエーレ通りには、おしゃれなブティックやレストランが軒を連ねていて、まさに隔世の感がある。
ところで、トラーパニというと有名な料理がクスクス。もちろんオリジナルは北アフリカ料理なのだが、チュニジアへの航路もあるトラーパニでは、すでに地元の料理となっている。
上の写真は昔ながらのクスクスの店。クスクス屋はCouscouseria(クスクセリーア)というのだと初めて知った。
つづりはフランス語とイタリア語のミックスだ。
昼すぎに到着したので、当日はエガディ諸島で一番大きなファビニャーナ島だけを訪問することにした。
その前に、トラーパニ港で軽く腹ごしらえのつもりで、港に面した安っぽいテラスのある定食屋に入店。ビールとパニーノくらいで済まそうと思っていたら、目に入ってきたのが「ウニ入りクスクスあります 10ユーロ」の看板である。これで本格的なランチになってしまった。
ウニ自体はたいして新鮮でもなく、味もまあまあというところだが、ソースに魚の味がたっぷり出ているのが日本人向きである。
給仕をしてくれたのが、見るからに「漁師のついでに食堂も手伝っています」あるいは「数年前まで漁師をしていましたが、思い切って転職しました」という親父(といっても私よりは若いだろう)。
声はムダに大きいし、がさつな立居振舞に最初はがっかりしたが、だんだん話をしていくうちにかわいく見えてきた。
妻が持っていた「地球の歩き方」を見ると、なんとこの店が紹介されているではないか。投稿した人も、たまたま船の待ち時間にここに入ったのだろう。
その記事を見せると、もちろん日本語は読めないが、たいそう喜んでくれて、店のなかにいた女性たちに紹介してくれた。
店のなかには、かなり太った3人の中年女性が、テレビを見つつ絶えず何かを口に入れながら世間話(たぶん)をしていたので気にはなっていたのだが、どうやら家族らしい。
こうして、トラーパニに着いた直後から、狂乱の記念撮影大会になってしまった。
食事が終わると勘定の支払いの段になるのだが、やはり財布の紐をしっかり握っているのは奥さんやお母さん(らしき人)である。男たちがレジに近寄ることもできないのは、イタリア南部の家族経営の店ではよく目にする光景である。
ちなみに、この数時間後、ファビニャーナ島からの帰りにこの店を覗いてみると、3人の女性はやはり同じ場所で同じ格好をして、相も変わらずテレビを見つつ何かを口に運びながら世間話(たぶん)をしていたのであった。
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