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2015-05-15

辺土名で村営バスに乗り換え

名護バスターミナルからほぼ1時間、到着したのは辺土名(へんとな)である。
ここから先は、村営バスに乗って国頭村の小さな集落へ向かう予定だ。
村営バスの発車まで40分ほどあったので、町をぶらぶら歩いてみることにした。

辺土名シャンゼリゼをゆくバス

辺土名は、1993年に来たことがある。中心部には商店や銀行が建ち並んでおり、私はここを辺土名シャンゼリゼと勝手に呼ぶことにしている。
当時撮った写真をスマホでも見られるようにしてあるので、現状とくらべてみたのだが、町並みはそれほど変わっていないという印象だ。

沖縄の地方都市は完全なクルマ社会なので、町を歩いている人はほとんど見かけないのだが、辺土名はそれでも村役場があるだけあって、たまに歩行者を見ることができた。

辺土名シャンゼリゼに残る古い民家

22年前は、辺土名の民宿に泊まった。
インターネットで宿泊施設を探すなんて想像もできない時代だったから、バスで昼前に辺土名に着いてから、飛び込みで宿をとったのだ。

その日の宿泊者は、確か3、4人。
食堂で夕食をとっているときに、いろいろと話をした。
なかに、私よりも5歳くらい年上の男性がいて、どこから来たのかは忘れたが、やんばるの森にカミキリムシを採集にやってきたのだという。
「えーっ、ハブは恐くないんですか?」と思わず聞いてしまった。
すると、にやにやしながら「大丈夫だよ」と答えてくれたっけ。ヤンバルテナガコガネなんかよりも、カミキリムシのほうがずっとおもしろいらしい。
あの人は、いまどうしているだろうか。

1993年の辺土名

これは、当時の辺土名。
背景の家や店はあまり変わっていないが、この3人の少年はもう30歳くらいになっていることだろう。
学校を卒業して那覇に出ているのか、それとも地元に残って仕事をしているか。あるいは、東京か大阪あたりにいるのだろうか。

辺土名の比嘉理容所

この写真は、辺土名シャンゼリゼの中央あたりにある味わい深い「比嘉理容所」。
昔ながらの民家の正面に看板を立てて商店としているわけで、いわば看板建築の原始的な形といっていいかもしれない。
金曜日だから定休日でもないだろうし、店はもう閉めてしまったのか。

辺土名

表通りから1本入ると、もうそこは静かな住宅街と畑になる。そして、反対側はすぐ海だ。
この場所では22年前にも写真を撮っていたが、まったく変わっていない。
建物は古いけれど、きれいな花で飾られているのが心地よい。

国頭村営バスは、村役場が表通りに面しているあたりから発車する。立派な待合室もできていた。
先客は、私と同じように名護からやってきた60代くらいのご夫婦。東京の日野市から来たとのことで、奥(集落の名前)の民宿で知人と待ち合わせているそうだ。

国頭村営バス

そして、地元の70代くらいのご婦人2人。体も頭もお元気そうで、いろいろな話をした。
話をしながら、またまた昔のことを思い出した。
──22年前にこの村営バスに乗ったときには、同乗のおじいさんと話が通じなくて、那覇から来ている小学校の先生に通訳をしてもらったっけ。

彼女によれば、「名護を過ぎると、時間の感覚がまったく変わるのよ。バスを降りるときも、那覇だとせかせか降りるけれど、こっちだと、おばあが後ろのほうからのんびり歩いてきたかと思うと、小銭をじゃらーんと床に落として、それをまたのんびり拾う、という調子」なのだそうだ。

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