丘の上の集落:宮城島
与勝諸島の4つの有人島は、それぞれ特徴があるのがおもしろい。
伊計島の手前にある宮城島は高低差があって、台地の上や斜面に集落がある。
南部にある桃原漁港こそ低地に位置しているが、北部から中央部にある池味、上原、宮城の集落は、比較的高い場所にある。
もしかすると、津波を避けて高い場所に集落をつくったのかもしれない。岩手県気仙沼市の沖合にある大島もそうだったなと思い出す。
そんな集落の一つを、カメラを持ってぶらぶらしていると、三人で立ち話をしていたおしゃれな中年女性の一人に声をかけられた。
「写真を撮りにいらっしゃったんですか?」
いや、歩いて自分の目で見るのが大切であって、写真はあくまでも補助的な記録なんです……などと理屈を述べてもしょうがないので、「はい」と答えた。
「伊計島から歩いてきました」
「えー! これからどこへ?」
「ぶらぶらして、バスがまた来たらそれに乗って……」
まあ、バスに乗ってやってくる観光客など、ほとんどいないのだろう。にこやかではあるが、珍しいものでも見るような顔つきであった。
「写真を撮るなら、この道を曲がれば見晴らしがいいですよ」という教えにしたがって撮ったのが最初の写真である。
宮城島の北端にある池味集落だ。
池味から小さな小さな尾根を一つ越えると、すぐに上原の集落になる。
ここが、宮城島の中心地といっていいだろう。
簡易郵便局、小さな商店、さしみ屋、小学校もある。ちなみに、さしみ屋というのは、本土でいう鮮魚店である。
池味から上原に向かう途中には、なんと馬がいた。
畑仕事に使われているのだろうか。私が近くを通っていても、顔をちらりと見ただけで、とくに興奮することもなく関心を払うこともなかった。2枚目の写真である。
上原にある新里商店には、5月2、3日にこの島で開かれる「たかはなり市(いち)」のポスターが貼られていた。
高離島というのは、宮城島の古称である。
たかはなり市は、与勝諸島4島の物産を集めて販売する市のようで、本島からも人がやってきたことだろう。
真っ昼間にこの島をぶらぶら歩いていても、ほとんど人と会わないのだが、そのときに来れば、もっと地元の人と出会えたに違いない。
笑ってしまったのは、その市が開かれる会場の地図である。
郵便局や商店が示されているのは当然として、会場への曲がり角に「馬」とあった。
「はて……馬?」と2秒ほど考えてわかった。さっきの馬である。
地元の人には、「馬」だけで、もう場所がわかってしまうのだろう。
もっとも、本島から来る人たちがそれで理解できるのかどうか……。
比較的大きな上原集落を一周しているうちにバスの時間となった。
マイクロバスは新里商店前の狭い道に停まることになっている。
私は新里商店で、ペットボトル入りの「さんぴん茶」とパンを買い込み、写真を1枚撮らせてもらった。
笑顔が素敵なおじさん、いやお兄さんだった。
« バスで「海中道路」とその先へ:伊計島 | トップページ | 神様の住居跡と墓がある:浜比嘉島 »
「沖縄ぶらぶら歩き」カテゴリの記事
- 西表島 路線バスで村めぐり(13・終)祖納(その2)(2023.02.10)
- 西表島 路線バスで村めぐり(12)祖納(その1)(2023.02.08)
- 西表島 路線バスで村めぐり(11)干立(2023.02.01)
- 西表島 路線バスで村めぐり(10)船浦(2023.01.31)
- 西表島 路線バスで村めぐり(9)上原(2023.01.30)
瑠璃さん、おほめのことば、ありがとうございます。
「馬」が入ったポスターの写真を、今になって「撮っておけばよかった」と後悔しています。
「島」にいったら、ママさんに「フタムラに教えてもらった」と伝えてくれればわかりますので、次回はぜひ。
夜もこわくありませんよ(笑)
投稿: 駄菓子 | 2015-05-08 22:52
こんばんは。
写真のことは全くのド素人ですが、とってもいい写真ですね。
(上から目線でゴメンナサイ🙇)
と感じるのは、文章とすごくマッチしているから、かな?
あたかも、私もそこにいて、その景色を見ている感じ。
三人の女性の表情もよ〜〜く わかります。
会場への地図に書いてある馬🐴 思わず、笑っちゃいました。
その写真も見たかったな。
私、島は島でも飯田橋の「島」に行って来ました。
存在は知っていたのですが、男性客が多いようだったので
これまで入る勇気がありませんでした。
沖繩そば 美味しかった😋
投稿: 琉璃 | 2015-05-08 21:43