バスで「海中道路」とその先へ:伊計島
2日目は、以前から懸案だった与勝諸島を目指した。
沖縄中部、うるま市の東側に浮かぶ平安座(へんざ)島、宮城島、浜比嘉(はまひが)島、伊計(いけい)島の有人4島である。
現在は、本島の与勝半島から橋でつながっており、とくに平安座島への橋は長く、まるで海の中を走っているように感じられるので、「海中道路」と呼ばれている。
「えっ、海の中をトンネルで走るんですか?」と、翌日某所で東京から来た人とその話題になって、びっくりされた。いわれてみれば、確かに海中道路はおかしい。正しくは海上道路なのだが、それではインパクトが足りないのだろう。
宿泊地のコザから屋慶名(やげな)行きのバスで約1時間、終点近くのJA与那城前で下車し、JA敷地内から出るうるま市有償バスに乗り換える。
これは、市が平安座総合開発に委託しているもので、マイクロバスが平日7往復、休日6往復して、4つの島を結んでいる。
やはり、「まずは終点まで乗らないと」ということで、一番奥にある伊計島まで乗り通した。
500円、46分の旅である。
乗り込んだのは私を含めて3人。終点の伊計島共同スーパー前まで乗り通したのは私一人だった。
ところで、共同売店、共同スーパーというのは、地元の人たちが、文字通り共同で運営している店のことで、沖縄の田舎や離島に行くと、まだまだ見かけることができる。
今回の旅では、「共同売店を見つけたら、必ず店に入ってなにかを買い、ずうずうしく店内の写真を撮る」ということを旨とした。
その1枚目が上の写真である。
ちょっと早い昼飯代わりにパンと飲み物を買い、「すみません、写真を撮っていいですか?」とひと言。
そんなことを聞かれるとは思わなかったのか、一瞬のためらいがあったようだが、「いいですよ」と答えてもらった。
おしゃべりをしている近所のおばちゃんを入れたら失礼かと思ったが、広角レンズの端っこに収めてしまった。
それにしても、沖縄は真夏の日射しである。
帽子とサングラスは持ってきたのだが、うかつなことに日焼け止めを忘れてしまった。
「まあ、まだ4月だし大丈夫だろう」なんて思っていたら、夜になって後悔することになった。
前回の記事までは、渋い町並みの写真ばかりだったので、今回はとくにサービスカットである。
いかにも沖縄らしいイメージの写真を選んでみた。
伊計島の集落は島の南部に集中している。
北部にはリゾートホテルがあるのだが、そこまではバスが行かないし、行ってもしかたがないので、次のバスまでの2時間で、隣の宮城島に歩いて移動することにした。
もちろん、行きのバスのなかから、道をしっかりと確認していた。
とくに分かれ道では、目印をしっかりと頭に入れておかないと、あとで面倒なことになる。
ところで、伊計島には島北部のリゾートとは別に、島の南端にも砂浜がある。
小さな駐車場や売店もあって、ささやかなビーチである。(上の写真は、そのビーチの反対側)
本土からの観光客向けというより、地元のうるま市、あるいはコザや那覇市からの日帰りの人が大半ではないかと思う。
平日ということもあって、ビーチにいるのは20人ほど。
どちらかとうらぶれた雰囲気が好ましい。
そして、スピーカーから流れているのは、サンバやボサノバであった。
個人的には、沖縄民謡のほうが合っていると思うのだが、地元の人にとってはそれではあまりにも日常的すぎるのだろう。
せっかく、海までやってきたのだから、非日常を演出してもらいたい、演出してあげたいという気持ちはわかる。でも、このこぢんまりとしたビーチに、サンバはやっぱりしっくりこないんだよなあ。
カラリと晴れた空の下、そんなことを考えながら、だんだんと遠ざかるサンバの音に送られて、私は宮城島に通じる短い橋を歩いて渡っていったのである。
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瑠璃さん、こんばんは。きのう、きょうと次の記事が書けませんでした。
与勝の島は、人が住んでいるところは限られているので、すぐにわかると思いますよ。
さて、職場が飯田橋とのこと。
それでしたら、ぜひジャズ喫茶「ラグタイム」だけじゃなくて、沖縄料理「島」にも行ってみてください。
宮古島出身のご夫妻が50年以上前にはじめた老舗で、いまは娘さん夫妻が継いでいます。
店の雰囲気はあえて沖縄を強調しないところが(といってもそこかしこに沖縄っぽさはうかがえますが)、なかなか居心地がいいかと思います。
娘さん(といっても還暦過ぎ)は当然のことながら、沖縄の顔をしていますが、生まれも育ちも千代田区出身でウチナーグチもミャークフツも話せません(笑)
ネタにいいものを使っているので、多少値は張りますが、おすすめですよ! ランチもやっています。
投稿: 駄菓子 | 2015-05-06 23:51
コメントへのレス、ありがとうございます。
マニアックな旅行記だな〜と感じ入っております。
与勝諸島の2島に、私は高校生(高校は首里にありました)の
夏休みに行ったことがあります。
ですが、残念ながら島の名前が思い出せない😥
駄菓子さんの記録をなぞっていけば、行けそうな気がします。
今度のセンチメンタルジャーニーでトライしてみようかな🙋
今回はこれまでの渋い写真から、沖繩っぽい写真で
心がパ〜ッと開ける感じ。
でも開南の写真も、そうそうこんな感じって、
昔の記憶を辿っています。
そうこうするうちに、親友の家のあった町名を思い出しました。
それから、飯田橋のジャズ喫茶、何と会社の近くです。
近くの店にランチに行くことが多いので、
そのうち伺おうと思います。
連休明けの楽しみが増えました。
ありがとうございます。
投稿: 琉璃 | 2015-05-05 10:28