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2015-03-16

龍飛岬から三厩駅まで

津軽線の終点、三厩(みんまや)駅に降り立った人のほとんどは、大人の休日倶楽部パスの利用者だった。
さらにそのほとんどが駅前の外ヶ浜町営バスに乗り換えて、龍飛岬に向かう。

大人の休日倶楽部パスがなければ、大枚を払ってここまで来る人はそう多くないだろうから、これで多少なりとも地元がうるおえば喜ばしいことである。

三厩駅

満員のバスで龍飛岬まで約30分。
まだまだ冬景色のはずだと思っていた津軽海峡は、からりと晴れてやけに明るかった。
しかも、展望台に据えられた「津軽海峡冬景色」の歌碑からは、エンドレスであの歌が流れてくる。けっして嫌いな歌ではないのだが、ただでさえ前日から頭のなかで曲がめぐりつづけているので、さすがにもう満腹になってしまった。

三厩梹榔

次の帰りのバスまでは約1時間半。さてどうしようかと2秒間ほど考えた末に、「バスで来た道を途中まで戻ってやろう」と考えた。
じつは、行きのバスの車窓で、次から次へと現れる沿道の集落に心を奪われていたのだ。

上の写真は、龍飛岬から歩いて10分ほどのところにある梹榔という、比較的大きな集落。
「梹榔」は「ひょうろう」と読むらしい。旧字で「檳榔」と書けば、「びんろう」のこと。
台湾や東南アジアで薬用や染料に用いる赤い実である。
はたして、どういういわれがあるのか。なかなか興味深い地名である。
ここだけでもずいぶん写真を撮ったのだが、とりあえずはこの1枚で。

三厩鳴神

次の写真は「鳴神」集落。
ここを走る道路は国道339号線だが、とても国道には見えない狭い道。しかも、龍飛岬では最後の部分が階段になっていて、車は通れない。いわゆる階段国道になっているのだ。
残念ながら龍飛岬の階段国道は、凍結の恐れがあるということで通行禁止になっていた。

三厩尻神

鳴神を越えると、次は「尻神」。地名に神様が続いている。
鳴神はよく聞くが、尻神はどんな神様なのか。それともたまたまそういう語呂になったのかは知るよしもない。
いずれにしても、道路は海岸線に沿ってていねいにカーブを繰り返し、その道の両側にへばりつくように集落が点在するのが、この龍飛~三厩駅の区間である。

三厩川柱

龍飛から2km地点を越えたあたりにあるのが、この「川柱」集落。
ここから南は、道幅が広くなって、センターライン入りの完全な2車線になる。
水平線の向こうに見えるのは北海道だ。
もちろん、龍飛岬からも手にとるように見えていた。

三厩元宇鉄

さて、三厩駅と龍飛岬の中間にあって、比較的大きな集落が「宇鉄」(うてつ)。
宇鉄は、さらにいくつかの小さな集落に分かれていて、なかでもバスの車窓からおもしろそうだと感じたのが、この元宇鉄である。
だから、残り時間と距離を確かめながら、ここまではたどりつこうと早足で必死に歩いてきたのであった。

三厩元宇鉄

ここまでの沿道には商店も2、3軒で、自動販売機もやはり2、3台。
だが、ここ元宇鉄には酒屋もあり、小さいながらも造船所があった。
集落のはずれには保育園や高齢者施設もあって、小さな集落を見てきた目には、ちょっとした町に感じられた。

三厩元宇鉄

この沿道には、山が海近くまで迫っていて、ほとんど耕地は見当たらない。
産業といえば、ほとんどが漁業のようである。かつては林業も盛んだったと聞くが、今は製材所も目につかなかった。

そういえば、この日の夜に行った青森駅前の鮨屋のおやじさんの話によると、「あのあたりの人たちは長生きなんだよ。漁師で朝早く起きて、夜は早く寝るからだろうね。新鮮な魚を食べているし」とのことであった。

時間があれば、さらに三厩駅まで歩きたかったが、まあ旅の初日でもあるし、ここ元宇鉄で14時33分発の町営バス三厩駅行きを待つことにした。

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