アオスタで肉三昧
トリノから列車で約2時間、フランス国境に近いヴァッレ・ダオスタ州の州都、アオスタに到着した。ここで2泊。
2年前にもアオスタには来たのだが、妻は初めてなので例によってツアコンである。
アオスタは標高が高いから涼しいんと思っていたら、30度近い暑さにびっくり。
タクシーの運転手によれば、「いやあ、涼しいときもあったけど、ここ2、3日は暑くて」ということだった。
予約したホテルはアオスタ駅から4kmほどのところにある「ホテル・パノラミーク」。
名前にたがわず眺めのいいホテルだった。上の写真はベランダからアオスタの市街地の方向を撮ったもの。
ホテルのフロントのおばさまは、私たちが公共交通機関でやってきたことにビックリした様子であった。
とはいえ、駅前にはタクシーが止まっているし、バスも30分おきに出ている。
もっとも、急斜面に建っているものだから、バス停からは急坂をひいこら言って登ってこなくてはならない。
この日は昼過ぎまでトリノでうろうろしていたものだから、アオスタに着いたのは夕方近く。
もう無理はしないで、夕食まで市内をぶらつくことにした。
アオスタは、州都というよりも、州町あるいは州村といったほうが似合う小さな町である。
町の中央に、市庁舎のあるシャノー広場があり、そこから四方に道が伸びる。
そのうちで、東にあるアウグスタ門に向かうポルタ・プレトリア通り、それに続くサンタンセルモ通りが目抜き通りといった感じで、飲食店や土産物屋が並んでいる。
そんな市の中心部からも、万年雪をかぶった山々が見渡せて、すがすがしい気分である。
うれしい思い違いだったのは、トリノやアオスタの人たちの気質。もっとツンツンしているのかと思ったら、ずいぶん観光客にはやさしい。むしろ、何かと気が利いて、親切な人が多かったのは意外であった。
しかも、少なくとも私が歩き回った限りでは、夜でも町にあまり緊張感がない。
事実、どちらの町とも(とくにアオスタは)治安がよいということなので、肌で感じたイメージは間違いないのだろう。
1日目の晩飯は、中心部の路地裏にあるトラットリーア「La Trattoria degli Artisti Pam Pam」。
「芸術家パムパムのトラットリーア」といった意味か。
観光客も大勢いたが、地元料理が中心のまったく気どらない店である。
前菜をサラミとハムの盛り合わせにしたら、予想にたがわず山ほど出てきた。
下の写真はもちろん1皿が1人分である。
パスタはパスして、メインに牛肉のタッリャータを注文。まさに肉三昧である。
帰りは10時近くになってしまったが、まだ駅前からホテル下まで市内バスがある時刻。
それを信じて、駅まで歩いてひと気のないバス停で待っていたのだが、いつまでたってもやって来ない。
終電は終わって駅に人はいないし、タクシー乗り場にタクシーはいないし、近くの店はすべて閉まっている。かといって、知らない夜道を1時間も歩けない。
市内バスの時刻表を信じた私を、妻が責める。
「これはマズい。どうするか?」
進退窮まったところで、タクシーが1台やってきた。まあ、なるようになるものである。
2日目の晩飯は、前日から妻が目をつけていたワインバー。
穴蔵風の店内が大変よろしかった。食べるものは、チーズとサラミ・ハムとパンしかないのだが、黙っていると次々に盛り合わせが出てくるというしくみ。
地ビールも飲み、ワインもおすすめの地元のものをたらふく飲んでご機嫌になったのであった。
そうそう、前日の失敗に懲りて、店の人にタクシーを呼んでもらったのは言うまでもない。
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