トリノの丘上で大嵐の洗礼
トリノのヴィットリオ・ヴェネト広場で遅い昼食を食べたら、その日の予定は町の南部にある自動車博物館に行くだけだった。
でも、自動車博物館は19時閉館。まだまだ余裕があると思った私は、市内が一望できる場所に行こうと考えたのである。
前回一人で来たときは、ポー川対岸のすぐのところにあるサンタ・マリア・デルモンテ教会前から、ガイドブックによく出てくる景色を見た。そこで、今回は別のところがいいかなと思って、タクシーの運転手のアドバイスを受け入れて、パルコ・エウローパ(ヨーロッパ公園)というところに行くことにした。
「トリノが一望できますよ。頂上にはおいしいジェラートが食べられる店もあるし」
丘の上に着いたのは午後3時少し前。
上の写真は、丘上にぽつんとあったそのカフェである。
ジェラートはそんなに食指が動かなかったが、メニューにあった「サングリア」に興味を引かれた。イタリアでは初めて見るものだし、わざわざ1ページを使って紹介してあったからだ。
「これはね、うちでつくっているんだよ」
注文すると、店の主人は相好を崩した。
肝心の眺めなのだが、確かにトリノを一望できたけれども、標高が高すぎるために、正直言っていま一つ面白くなかった。目の前に、ざーっと町全体が見えるたげで、建物の一つひとつが小さくてわからないのである。
まあ、自然公園になっているようなので、のどかで空気はいいし、小一時間過ごすにはいい場所だった。
ところがである。
大きなグラスに注がれたサングリアを、いままさに飲み干そうとしたそのとき、あたり一帯に雷鳴がとどろき、まもなくすさまじい勢いで大粒の雨が降ってきた。
私たちを含めて展望席に座っていた数人の客は、屋根のある席に移り、雨のやむのを待つしかなかった。
1時間たっても雨はやまず、2時間を過ぎたところで、ようやく小降りになった。
雨が完全にやんだのはもう5時すぎ。帰りのバス停の場所と、自動車博物館への道を店の主人に聞いて、ようやく店を辞したのは午後5時をまわっていた。
バスに乗ったのは5時20分ごろ。
「まあ、博物館は7時までやっているからね。6時半には間に合うだろう」
バスを降りて、ちょっと道を大回りしてしまったけれど、博物館には6時に着いた。
外観の写真を撮って、さあいよいよ入場である。
「切符2枚!」
「今日はもう終わり」
「えっ、7時までやっているんでしょ?」
「入場は6時まで!」
「まだ4分過ぎたばかりじゃない」
「新しいシステムになって、6時を過ぎると入場券が出せないんです」
そのあとのやりとりは省略。ナポリ人のように大げさに嘆いてみせたが、アルバイトらしき大学生たちには通用しなかった。本当にダメなものはダメらしい。
融通が利くようで利かないのがイタリアなのである。
「かくなる上は、明日の近郊小旅行の前に訪れるしかない。明日は早起きをするぞ!」
やり場のない腹立ちを抱えて、再び小雨が降ってきた町に出る私たちであった。
最後の写真はおまけ。トリノ中心部で見つけた「無印良品」の店舗である。
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そうですね。
古い方法と新しいシステムのいいとこ取りのやり方がいいのではないかと思います。
投稿: 駄菓子 | 2014-10-24 20:57
なるほど、鳥の目線で仕事のやり方を理解する必要があったということですね。
勉強になりました。
投稿: ike | 2014-10-24 20:16
パルコ・エウローパ自体はともかく、丘上の町は本当にいい感じでした。
自動車博物館の受付は、やはり機械が示したトーリノ仕事しかしないのでしょう。
あ、アクセントの位置が違いますね。
投稿: 駄菓子 | 2014-10-24 19:25
丘上地区の風景、落ち着きがあってイイ感じですね。
それにしても、「新しいシステム」の時計に狂いはないのでしょうか。実は6時30分にセットされていたとか、さらに1~2年経つと5時くらいからチケットが出せなくなってるとか・・・。
でも、ここはトリノだから、そういう想像はあたらないんでしょうね。
投稿: ike | 2014-10-24 18:14