トリノの自動車博物館とリンゴット駅のJAZZ
前日の時間切れで、やむなく9月10日は朝10時の開館に合わせて、自動車博物館を再訪することにした。
場所は、地下鉄の終点リンゴットから徒歩で7、8分。ポー川に面したところにある。
最近になって改装したとのことで、人を寄せつけない(と私には前日の経験からそう見えた)無機質な外観は、戦前のファシズム建築につながるものを感じたが、それを補って余りあるのが、展示されている車の数々。
自動車黎明期のまるで馬車のようなワゴンから、歴史を彩った欧米のさまざまな車、そしてレーシングカーまで、収蔵されている自動車の量と質は見事なものだった。
しかも、写真は撮り放題。山のように撮った写真をここに並べると大変なことになるので、そのうちから3枚だけ。
一番上は、「1941年 ロールスロイス 40/50HP」と記されていた。
真ん中は、左が1936年に登場したフィアットの初代500(チンクェチェント)「トポリーノ(小ネズミ)」。右は、 1932年の「フィアット508」。
下の写真は、「マニアの部屋」という展示で、トイレも洗面所もバスタブも、みんな自動車というのが笑える。写真には写っていないけれど、テーブルも机もみんな車にちなんだものになっていた。
そしてこれが、地下鉄リンゴット駅そばにあるフィアットの前本社。威圧するような外観は、まさにファシズム建築の流れを汲んでいるような気がする。
さて、昼からは国鉄(トレニタリア)でアスティの町に行くのだが、また地下鉄で都心のトリノ・ポルタ・ヌオーヴァ駅に戻るのは芸がない。そこで、トリノ・リンゴット駅から乗ることにした。
同じリンゴットという名前が付いているのだから、せいぜい歩いて10分くらいで着くだろうと思ったわけだ。
フィアット工場跡にできたショッピングモールを抜ければすぐかと思ったら、そこには国鉄の大きな操車場があった。ここに何百メートルという長い跨線橋があるのは知っていたので、まあ最悪、それを渡ればすぐ向こう側に駅があるだろうと誰しもが考えるところである。
でも、念のため、跨線橋の向こうから来た中年のご婦人に駅の場所を尋ねた。
すると、その方はにっこりと微笑んだかと思うと、はるかかなたを指さした。
「あそこに黄色い建物が見えるでしょう。あそこがリンゴット駅よ」
それは、跨線橋をわたってさらに数百メートルはあろうかという場所であった。
まだまだ夏の名残の太陽が、真上からじりじりと照らしていたときの話である。
もうすぐ着くと思ったところで、先が長いと知らされることほど、疲れが出ることはない。
まあ、それでもひいこらリンゴット駅にたどり着いた。
すると、反対側のホームに、今年運行をはじめたばかりのローカル線用の電車ETR425、愛称「JAZZ」がやってきた。なかなか派手な塗装である。
10年前ころから投入されて、イタリアのローカル線近代化に貢献してきた愛称「ミヌエット」と同様、フランスのアルストム社製の車両である。
「舞曲のミヌエット(メヌエット)の次は、ジャズと来たか。その次はなんだろうか」
15分遅れの列車を待つ間に、あれこれと思いをめぐらせる私であった。
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というわけで、私も半日シャレを考えましたが、思いつかず。
アスティ、アルバ、ブラなら、三題噺でできる?
投稿: 駄菓子 | 2014-10-28 21:21
いいとこ取りの方法を試みてみたら思いの外歩かされてしまった、ということですね。
あ、すいません。例のアレに関しましては、最近とても頭の切れが悪くなっており、リンゴットという言葉からは、あの果物以外、何も思いつきませんでした。
投稿: ike | 2014-10-28 01:54