三陸縦断の旅11: 八戸市中心部
年内に完結せず、とうとう1月も過ぎてしまった三陸縦断記の続きである。
八戸までやってきたところから再開。
東北新幹線に八戸という駅はあるが、市の中心地はそこから直線距離で5kmほど東にある。
JR八戸線に本八戸という駅があって、そちらのほうが中心地に近い……といっても、そこから中心まではやはり10分以上歩かなくてはならない。
ちなみに、今の八戸駅はかつての尻内駅。今の本八戸駅が八戸駅という名前であった。
八戸には何度か来たことがあるが、とても気に入っている。
地方都市の多くが、リトル東京のような町になるか、あるいは道路ばかりが広くて郊外型の店舗しかないがらんとした町になるかのどちらかの道を歩んでいるなかにあって、八戸には独特の文化の香りが感じられるからだ。
しかも、路線バスが各方面にこまめに発着しているのが非常によい。
中心部を走る路線は一方通行もあってやや複雑だが、あちこちに路線図や地図が掲示されていて、旅行者にもわかりやすくなっている。
「路線バスが乗りやすい町はいい町である」──これまであちこちを旅してきた私の結論の一つである。
中心部がきちんと栄えていて商店が軒を連ねているのも、もちろんいい。
そして、夜になると飲み屋の数が信じられないほど多いことがわかる。
こんなに店があって、やっていけるのかと思うほどだが、着いた夜に人気の店を訪ねてみると、すでに満員だった。
そこで、ガイドブックやネット情報に頼るのはやめて、時間をかけて嗅覚を最大限にきかせていい店を探すことにした。
そうして見つけたのが、繁華街のはずれ、大工町にある「とまい村」という店。
7、8人が座れるカウンターと小上がりがあった(ように記憶している)が、先客は一人のみ。
50歳そこそこと見えるママさんが、にこやかな表情で迎えてくれた。
いかにも常連さんしか来ないような店だが、ずうずうしくカウンターに座って生ビールを注文。一緒になって、テレビでやっている男子フィギュアスケートの世界選手権だかを見ていた。
メニューはけっして多くないが、たくさんあったって1回で全部食えるわけないのだから、うまければそれでいい。
刺身からはじまって、あれやこれやと最後は鶏のから揚げまで頼み、途中で来店したもう一人の常連さんも加わり、楽しい会話も肴にして、とても満足したひとときであった。
トイレに立ったら、そこにはママさんやお客さんたちで旅行したときの写真や、お客さんどうしのゴルフ大会の写真などが所狭しと貼ってあった。
席にもどって壁を見ると、開店何十周年だか忘れたが、お客さんからのユーモアたっぷりの感謝状が貼ってあるのが目に入った。
こんな出会いがあるから、旅はやめられないのだ。
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