三陸縦断の旅8: 釜石~宮古 山田線振替バス
釜石市内を散歩したのち、この日はまずバスで宮古に向かう。三陸沿岸を走るJR山田線の代替バスである。約50kmを乗り換え1回、2時間で結んでいる。
10時50分釜石駅前発の岩手県交通バス「道の駅やまだ」行きに、釜石の中心部で乗車。
しばらく走ると、津波でやはり壊滅的な被害を受けた釜石市北東部の鵜住居(うのすまい)や大槌町に達する。
このあたりは、道路の両側が更地になっており、まるで荒野の一本道を走るような光景が広がる。
陸前高田の場合は、以前に町を散歩して写真を撮っていたので、昔の光景と対照できた。大槌には残念ながら下車したことがなかったために、昔の様子が想像できないのだが、この更地にもぎっしりと家が建っていたのかと思うと心が重くなる。
もっとも、そんななかにも、プレハブ住宅を利用した飲食店や各種の店舗がぽつぽつと建っている。時間があればバスを降りて、親子丼でも食べていきたいのだが、次のバスは2時間後。それでは当日中に八戸に着かないので:残念ながら車窓から見ているしかなかった。
これは、大槌町東部にある吉里吉里(きりきり)。JR山田線にある同名の駅は、この道路よりも山側に位置しており、津波の被害は免れたものの、その後、老朽化を理由に取り壊されたそうだ。
吉里吉里はそのユニークな名前で、時刻表を見はじめた中学生のころから気になる駅だったが、それが井上ひさしの小説『吉里吉里人』で一躍全国区の名称になった。厚い本だったが、おもしろくて一気に読んだ覚えがある。
バスは大槌町から山田町へ入り、釜石から50分ほどで船越駅前に到着。ここで岩手県交通から岩手県北バスの宮古駅前行きに乗り換える。船越駅前といっても、もちろん山田線は動いていない。
写真の左奥にぽつんと建っている小さな建物が、岩手船越駅の駅舎である。
穏やかな日射しのなか、何の変哲もない小さな町の駅前で、ぼんやりバスを待っているのもいいものである。
幸い、天気もよく風もなかった。意外と、こんな瞬間がいつまでも旅の印象として残るものだ。
待つこと10分ほど、宮古行きのバスがやってきた。
船越から宮古駅前までは約1時間。途中には、やはり津波の爪跡も痛々しい山田町の中心部も通過。海に向かって市街地が広がっていたここも、津波と火災によって跡形もなくなっていた。
その昔、船の上からウミネコに餌付けをするといううたい文句の遊覧船に乗った覚えがあるのだが、はたしてどこの港から乗ったのか。町の中心部からは、かなり離れていた記憶があるが。
山田町の市街地はプレハブの店舗が数多く建ち並んでおり、ほかの被災地にくらべて、ずいぶん活気があるように感じられたのは少しほっとするところである。
バスには、学校の見学なのだろうか、付近の小学生が大量に乗り込んできたので、車窓の写真を撮る余裕がなくなってしまった。
上の写真は宮古市内。
こうして、宮古駅前には、ほぼ定刻の13時10分前ごろに到着。
20分ほど市内をうろついたのち、三陸鉄道北リアス線に乗車する。
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