雪残る雑司が谷界隈(2) 路地裏歩き
弦巻通りから路地裏に踏み込む。
日が当たらないためか溶けずに残っている雪が、靴の裏でシャリシャリいうことに快感を覚えつつ、すべらないようにへっぴり腰で歩を進める。
この写真は、前の記事の3枚目にある「肉の大久保」を入ってすぐのところ。
手前にあるのが「肉の大久保」が入っている建物。その向こうに見えるのが、40年ほど前には都内のどこにでもあったようなアパートである。比較的大きな木造モルタル2階建てだ。
そして、2軒の建物の間に、こんな空間が。
まるで、大きな魚に飲み込まれようとしている小魚のように見える。右からも別の大魚が迫ってきて絶体絶命。木造の正体を現して、必死に逃げようとしているのか。「クレジットカードで即現金化」という怪しい広告が、危機感をいや増しにしている。
さらに路地裏を進むと、ところどころに板壁の家が現れる。
左のお宅は、きちんと手が行き届いた板壁の平屋。
なぜか、ここの前だけ道幅が広くなっていた。
正直なところ、こうした生活感あふれる路地裏は、歩くだけでも気が引けるのに、さらに写真などを撮るのは罪悪感さえ覚える。
……といいつつ、図々しく十数枚の写真を撮って、何事もなかったように表通りに戻ってきた私である。
さて、弦巻通りと交差するあたりに、昔ながらの食料品店、乾物屋、八百屋が軒を連ねる一角がある。
この店々が健在なのを見て、ちょっと安心したのであった。
何も買うわけではないのに、安心したり心配したりするのは身勝手というものだが。
(つづく)
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