炎天下、おまけの2km: カステル・ディ・イエーリ
カステルヴェッキオ・ズベークオは山の中にありながら、近づいてみると意外と近代的な町(村)であった。
この写真は、その中心部にある広場。
イタリア版ウィキペディアによると、人口は1200人ほどという。
少ないといえば少ないが、セチナーロの500人弱にくらべれば多い。
まあ、いずれにしても、実際の人口にくらべて町の規模が大きく感じられるのは、イタリアの不思議なところである。日本で人口500人、1000人というと寒村というイメージがあるが、こちらでは、少なくとも表面的にはそんな感じがしない。
コンパクトに町がまとまっているからなのか、それとも人口が多かったころの建物が、そのまま残っているからなのか。
さて、この町にももちろん旧市街があって、カステルヴェッキオというくらいだから古い城砦があって、教会がある。じっくりと見学すればそれなりに見どころがあるらしいのだが、暑くてそれどころではなかった。
そこで、まず広場に面したバールで一休み。
どんな小さな村でも1軒はバールがあり、しかもこのアブルッツォでは昼休みの時間でも必ず開いているのがうれしい。
南部に行くと、バールも昼休みには閉めてしまうところがあり、私のような旅行者は途方に暮れるしかないのだ。
少し元気を取り戻して、旧市街を散策。昼休みだから、ほとんどひと気がないのが不気味なほどである。
その代わり、空き地にいたネコとしばし戯れた。
それにしても気になるのが、さらに2kmほど先にある村。
上の写真がそれで、カステル・ディ・イエーリ(Castel di Ieri)という名前らしい。「昨日の城」あるいは「以前の城」といった意味だろうか。
行きにバスで通りかかったときには、カステルヴェッキオ・ズベークオのほうが魅力的に見えたのだが、こうして遠目に見るとあっちのほうがよく見える。
いったんそう思うと、やはり行かなければならない気持ちになってくるのが貧乏性である。
バスの時刻を頭に入れつつ、最後の力を振り絞って、さらに30分ほど歩いた。
近くから見ると、丘の中腹より上が旧市街だとわかる。
味わい深そうではあるのだが、そこまで行って帰ってくるとバスに遅れる恐れがある。
まだ15時半ごろであったが、これが上りの最終バス。
それに乗り遅れるとニッチもサッチもいかなくなるので、涙を飲んであきらめた。
町の入口すぐのところにある広場で、バスを待つ。
次回はこの丘の上まで行くぞと思ったが、はたしてそんな日は来るのか。
「ほかにも行きたいところが山ほどあるからなあ」と、日陰のベンチで柄にもなく物思いにふける私。
もう、二度と見ることのない風景かもしれないと思うと、とくに変わったところがあるわけでもない教会の塔も、小さな公園で遊んでいるおじいさんと孫の様子も、ずいぶんといとおしく感じるのだった。
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うーん、そうやって刺激するんだから……。
やっぱり、再訪しなくちゃなりませんね。
幸いなことに、今回の暴挙では、日焼け止めクリーム、サングラス、帽子という三種の神器のおかげで、それほどダメージは受けませんでした。
投稿: 駄菓子 | 2012-07-11 09:12
カステル・ディ・イエーリの写真をみますと、大きめの建物が一列に並んで城壁のような景観をしています。マニアでなくても、非常に興味をそそられる街ですね。
炎天下での長距離歩行、お疲れ様でした。
投稿: ike | 2012-07-10 12:08