新潟・魚沼の山奥で芋掘り
新潟・魚沼といえば、うまい米の一大産地。
その山奥まで行って、人生初の体験をしてきた。
私と妻は市営の温泉宿に一泊。日曜日の朝に、マイカー組と合流した。
知り合いの農家の掘っ立て小屋で、一夜を明かした彼ら。
いい年をしているのに、元気なアウトドア派のおっさんたちである。
ここはまだ里の近く。集落もすぐそばにある。
上の写真は炭焼き小屋。炭焼き小屋というのは、山の中にあるとばかり思っていたので、意外であった。
さて、ここから車に分乗して出発である。
紅葉のはじまった沢沿いを、ひたすら上流へ。
舗装道路も終わり、周囲は先日の豪雨の爪跡が痛々しい。70歳ほどと思われる農家のおじさんが、生まれてはじめてのすさまじい雨だったというのだから、想像もできないほどである。
渓流に棲息している岩魚も、ずいぶん流されてしまったそうだ。
いきなり先行の車が止まった。何か思ったら、道端にアケビの実があるという。
それがこの写真。ちょうどいい色に2つ実っている。
よくこんなものを、車内から見つけるもんである。あなどりがたし、アウトドアおやじ軍団。
勧められて食べた。二つに割った中身は、まるでカエルの卵のよう。黒い種をぬるぬるの透明なものが包んでいる。
この透明なものを食べて、種はペッと捨てる。甘い。
「ここで食べるからいいんだよな。持って帰って食べるほどでもないよ」
アウトドアおやじの名言である。
砂糖が貴重品だった大昔なら、アケビの甘さは何にも代えがたい素晴らしい味だったに違いない。
「ここらでいいか」という感じで2台の車は停車。
さあ、これからが大仕事。自然薯(じねんじょ)掘りである。
汚れてもいいように防護服(!)に着替え、虫よけスプレーをして、藪に分け入る。
「むかご」がなっている蔓(つる)を見つけて、その蔓が地中にもぐっている場所を探す。蔓は幾重にも行ったり来たりしているので、初心者はそれを探すだけでも一苦労である。見つかったら、そこを目掛けてスコップで地中を掘るわけだ。
白装束で崖を崩している小集団は、どう見ても不審者である。
が、ここを通る人はほかにいない。
初体験の私は、自然薯を折ってはいけないと、どうしてもへっぴり腰になってしまう。しかも、運動不足の身には、かなりの重労働である。
そして、男4.5人が約2時間かけた収穫の一部がこれ。私は見習いなので0.5人前である。女性2人は見学であった。
これだけでも、市場で売れば相当な金額になるはずである。最終的にはこの2倍近くになったかな。
もちろん、掘った穴はなるべく原状回復して、芋が来年以降もできるように根を残しておくのが不文律である。
そして、里のベースキャンプに戻り、均等に分けた分け前をもらう。
狩猟採集生活での原始共産制というのは、こんな感じだったんだろうなあ。
翌日のわが家の夕食は、もちろん自然薯のとろろ。すったそばから酸化するのか、すぐに変色する。つまり、還元作用があるのかな。そしてよく粘る。
こんなものを、しばらく食べ続ければ、人一倍元気になるに違いない。
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