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2011年10月の6件の記事

2011-10-25

東池袋・昭和の香り漂う「日の出町商店街」探訪(下)

そして、道は左に大きくカーブする。
そこにあるのが、つたに覆われたこの「あんぱちや」。化粧品店というか雑貨屋である。

日の出町商店街・あんぱちや

じつは、このあたりから商店会の名前が、「日出優良商店会」から「共盛会」に変わる。
町名が変わるわけでもなく(どちらも東池袋五丁目)、理由はわからない。旧町名が変わるのかと思って、古い地図を調べたが、どちらも日出町一丁目である。

日の出町商店街

そうそう、古い地図を見てわかったが、この周辺は戦災で焼け残ったのだ。
周囲が焼けたなか、この商店街のあたりが、島のように焼け残っている。
もう少し広い範囲で見ると、この近くで焼け残った地域として、大塚の坂下通りあたりと、雑司ケ谷一丁目がある。

日の出町商店街・八百勘

さて、500mつづく商店街もいよいよ終わり近く。メインストリートに斜めに交差する道があり、その角にあるのが、この八百勘。
とんがっているのは、広角レンズのせいではない。四つ角の鋭角の側に店があるために、こんな感じなのだ。店内の配置も難しいだろうなあ。

日の出町商店街・フードショップいいづか

そして、その反対側の鋭角にあるのが、このフードショップいいづか。コーヒーから海苔からお菓子から、さまざまな食品を売っている。
隣の鈍角のところには肉のマルサンという店があった。さきほどの八百勘と合わせて、この小さな四つ角の周囲、半径30mほどで、たいがいの食べ物が揃うということになる。
あなどりがたし、日出町商店街。
ちなみに、残る一つの鈍角の土地には、普通のマンションが建っていた。

2011-10-23

東池袋・昭和の香り漂う「日の出町商店街」探訪(上)

以前から気になっていた商店街である。東池袋にある日の出町商店街。
正式名称は、「日出優良商店会」。名前からして泣かせる。
都電荒川線の東池袋四丁目電停近くから、東に向かって500mほど続いている。

都電東池袋四丁目電停

この電停は、かつては「日出町二丁目」と呼ばれていたが、例の新住居表示にともなって、現在の名前になったのである。
ここで池袋と護国寺を結ぶ大通りと交差するのだが、その通りにもかつては都電17番が走っており、荒川線と平面交差していた。その北東側にある地下鉄の出入口付近には、小さな車庫もあった。

日の出町商店街・中山青果店

大通りを背にしてホームを下りる。いつもは左折して東急ハンズに向かうことが多いのだが、この日は右折。念願の商店街の撮影である。
これは、電停から近い中山青果店。

日の出町商店街・横井商店

家電の横井商店。昔は、電気屋といったら、店の正面はみなこうしたデザインだったっけ。
この写真は、西側を振り返ったもので、バックにイトーピアの高層マンションが見えている。

日の出町商店街

さらに西に進んでいくと、徐々に空気が濃くなってくる。手前はパン屋のサンジュール。向こう側の古い木造家屋は、靴のニイムラである。

日の出町商店街・タニ薬局

じつは、この商店街、途中までは都電の線路とほぼ並行している。
そして今、都電の線路の両側を道路にしようという計画が進んでいるのだ。そのために、家屋の立ち退きが続いている。それと関連しているのかどうかわからないが、商店街のあちこちが刃こぼれするように欠けて、駐車場となっている。
この店はタニ薬局。さきほどの家電の店と同様、正面のデザインは定番である。

日の出町商店街

半年に1回くらいはこの道を通るのだが、数年前は店の数自体が多く、人出もあったような記憶がある。そのときに写真を撮っておけばよかったが、そういうときは急いでいたり、カメラを持っていなかったりするものなのだ。

日の出町商店街


それにしても、池袋副都心のすぐそばにあって、まるでエアポケットのような場所である。はたして、この商店街がいつまでこの姿を保っていけるのだろうか。
とはいえ、近くに住んでもなく、買い物もしない人間が、勝手に懐かしがっているのも申し訳ないような気がする。


日の出町商店街


そして、東池袋四丁目電停から約300m。美味そうな揚げ物がショーケースに並ぶ惣菜屋を横目に見ながら、なお商店街探訪は続くのであった。

(つづく)

2011-10-17

神田駅のモンスター(続)

神田駅の工事


先日紹介した神田駅のモンスターだが、きょうは近くに行く用事があり、しかも時間があったので、じっくりと撮ってきた。

まずは、東側から、通りの向こうに見える「モンスター」を撮影。
イタリア・フィレンツェで、路地の向こうに見えるドゥオーモを撮ったことを思い出す。
ちょっと共通点があるような、まったくないような……。

ぼつぼつ、飲み屋の明かりがともりはじめるころである。

神田駅の工事


どうにか全体像が見えないかと思って、南東側に回り込んでみる。
まあ、地上から撮るのはこれが精一杯かな。

犬の顔のようにも見える。

神田駅の工事


もしや、西側には開けている場所はないかと思ったが、やはりダメだった。

それどころか、工事が真上で行われているもんだから、かなり恐い。
みんな、あの「モンスター」が落ちてこないと信じ込んで、道を歩いているようである。

111017d

最後はおまけショット。神田駅ガード下の飲み屋街である。
もっと地味な飲み屋が並んでいるかと思ったが、かなり看板は派手。
まあ、派手でなくちゃ、こんな暗いところでは目立たないかもね。

2011-10-09

王子・さくら新道

散歩好きにはすでに有名な場所であるが、王子駅と飛鳥山にはさまれたところにある飲み屋街である。

さくら新道

桜の季節、飛鳥山に来るとこのあたりをぶらぶらするのだが、よく考えたら写真を撮ったことがほとんどなかった。
そこで、たまたま近くを通りかかったついでに、シャッターを押した。先月のことである。

さくら新道

桜の季節でもない日中は、だいたいこんなふうに静まり返っている。
夜に立ち寄ってみたいものだが、居酒屋ではなくてバーやスナックばかりなので、敷居が高い。

王子駅を通過するたびに、「まだ残っているかな?」と車窓に目をやるようになって、20年以上。
しぶとく昭和の香りを漂わせている一角である。

2011-10-07

スペイン南部 鉄道の旅 1981年

久しぶりの「蔵出し旅写真(海外編)」。今回は、いまから30年前のスペインの旅である。
バルセロナ、マドリードからアンダルシア地方をめぐって、イベリア半島南部からポルトガルに抜けたときのこと。
今でこそ、スペインにも高速鉄道が快走しているが、当時は本線でさえ古めかしい車両がのんびりと走っていたものだった。

ウェルバ駅のタルゴ

そんななかにあって、日本の鉄道ファンにも知られた人気列車がこれ。南部のウェルバ(Huelva)駅に停車中の「タルゴ」だ。
レール幅の違うスペインとフランスを直通する、可変軌間対応の客車を使った寝台列車である。
ウェルバ駅は、現在近代化工事中という話を聞いた。もう、すっかり変わってしまっているだろう。

アルカサール駅

これはスペイン中南部のアルカサール(Alcazar)駅。『ドン・キホーテ』の舞台になった地方である。
特急の指定席が満席だったので、ローカル列車に揺られて途中下車してみた。
周囲は茫漠とした平原で、丘の上のところどころに、ドン・キホーテが突撃したような風車がまわっていた。

レールバス

一応、鉄道ファン、鉄道模型ファンのために、形式写真も撮りました。
プレートを見ると、ドイツ製の車両のようである。日本式にいえば、レールバスのようなタイプ。
ローカル線はもちろん、本線を走る普通列車の多くも、この車両が活躍していた。

トコン・イ・モンテフリオ駅

そんなローカル列車の車窓から撮影した小さな駅。
駅名は、「Tocon y Montefrio」(トコン・イ・モンテフリオ)と書かれている。
用事があるんだかないんだか、近所の親父が何人も、日なたでおしゃべりしている。
こんな駅は、生きている間に二度と見られないだろうと思っていたが、ネットの威力は絶大で、この駅の最近の姿を、ここ で見ることができる。

車内

これがレールバスの車内。まさにバスである。
ここで聞くスペイン語の響きは、それまで耳にしたイタリア語と似てはいたが、のどの奥から勢いよく空気を出す「ja」「jo」(強いハ・ホ)の音が耳に残った。

アヤモンテ駅

順番が前後したが、これがスペイン国鉄の南西端にあったアヤモンテ(Ayamonte)駅である。
ウェルバから何時間かかったか忘れたが、平原のなかを、はるばる揺られてきたという感じだった。
夕日に照らされた車両が印象的である。
今は、ウェルバ~アヤモンテの鉄道路線は、廃止になってしまったらしい。

終点のここで下車して、町の中を西に向かって歩き、10分ほどすると川に出る。
その川を小さなフェリーボートで渡ると、そこはポルトガルだった。

2011-10-02

神田駅のモンスター

上野駅と東京駅を結ぶ「東北縦貫線」の工事が進行中だ。
これが開通すると、上野駅発着の高崎線、宇都宮線(東北本線)、常磐線の東京駅乗り入れ、そして東海道線との乗り入れが実現するそうだ。

ここ神田駅にも、少し前から、モンスターのような構造物が現れている。

神田駅

すでに高架橋の上を走っている新幹線の上に、もう一本高架をつくろうとしているのである。
新幹線の上を新線が走るというのは、珍しいのではないだろうか。
もっとも、二重高架は周辺に住む人の猛反対を受けていたというが。

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著書

  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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