スペイン南部 鉄道の旅 1981年
久しぶりの「蔵出し旅写真(海外編)」。今回は、いまから30年前のスペインの旅である。
バルセロナ、マドリードからアンダルシア地方をめぐって、イベリア半島南部からポルトガルに抜けたときのこと。
今でこそ、スペインにも高速鉄道が快走しているが、当時は本線でさえ古めかしい車両がのんびりと走っていたものだった。
そんななかにあって、日本の鉄道ファンにも知られた人気列車がこれ。南部のウェルバ(Huelva)駅に停車中の「タルゴ」だ。
レール幅の違うスペインとフランスを直通する、可変軌間対応の客車を使った寝台列車である。
ウェルバ駅は、現在近代化工事中という話を聞いた。もう、すっかり変わってしまっているだろう。
これはスペイン中南部のアルカサール(Alcazar)駅。『ドン・キホーテ』の舞台になった地方である。
特急の指定席が満席だったので、ローカル列車に揺られて途中下車してみた。
周囲は茫漠とした平原で、丘の上のところどころに、ドン・キホーテが突撃したような風車がまわっていた。
一応、鉄道ファン、鉄道模型ファンのために、形式写真も撮りました。
プレートを見ると、ドイツ製の車両のようである。日本式にいえば、レールバスのようなタイプ。
ローカル線はもちろん、本線を走る普通列車の多くも、この車両が活躍していた。
そんなローカル列車の車窓から撮影した小さな駅。
駅名は、「Tocon y Montefrio」(トコン・イ・モンテフリオ)と書かれている。
用事があるんだかないんだか、近所の親父が何人も、日なたでおしゃべりしている。
こんな駅は、生きている間に二度と見られないだろうと思っていたが、ネットの威力は絶大で、この駅の最近の姿を、ここ で見ることができる。
これがレールバスの車内。まさにバスである。
ここで聞くスペイン語の響きは、それまで耳にしたイタリア語と似てはいたが、のどの奥から勢いよく空気を出す「ja」「jo」(強いハ・ホ)の音が耳に残った。
順番が前後したが、これがスペイン国鉄の南西端にあったアヤモンテ(Ayamonte)駅である。
ウェルバから何時間かかったか忘れたが、平原のなかを、はるばる揺られてきたという感じだった。
夕日に照らされた車両が印象的である。
今は、ウェルバ~アヤモンテの鉄道路線は、廃止になってしまったらしい。
終点のここで下車して、町の中を西に向かって歩き、10分ほどすると川に出る。
その川を小さなフェリーボートで渡ると、そこはポルトガルだった。
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1980年代って「現代」だと思っていても、こう写真を並べると、古いですよね。
私もマドリードからグラナダまで夜行列車で移動しました。
アマレットさんが乗ったタルゴは、たぶんこの写真の型(初代)だと思います。今は3代目だったかな。昔よりは乗り心地がいいかなと。
でも、「ヨーロッパの新幹線」というのは誇大広告ですね。
投稿: 駄菓子 | 2011-10-19 21:29
ワタクシも初めてスペインを列車で旅したのは1984年、似たような時期ですかねー。たしかバルセロナからグラナダまで、夜は寝台列車になる普通列車で1日半かけて移動したことや、ヨーロッパの新幹線と聞いて乗ったマドリードからパリへのタルゴがものすごい揺れ&ショボくてがっかりしたことを覚えています。
投稿: アマレット | 2011-10-19 18:43