吾妻線----ダム底に沈む川原湯温泉駅あたり
前回に続いて、先月に行った川原湯温泉あたり。
今回は、駅とその周辺である。
川原湯温泉駅があるのは、上越線から渋川で分岐する吾妻線(あがつません)だ。
大半の列車は高崎から直通。
ここには、首都圏では珍しくなった湘南色(オレンジと緑のツートンカラー)の近郊型115系電車が走っている。
じつは、このときの用事というのは、鉄道雑誌の記事のために、吾妻線を走るこの115系電車を撮ることであった。
川原湯温泉駅付近は、前回も書いたように、八ツ場ダムの建設によって水没の運命にある。
それにともなって、吾妻線の線路も、川原湯温泉駅前後で高い場所に付け替えられる予定だ。
駅を降りて眺めると、ホームも駅舎も、いかにも昔の駅というたたずまい。
水没してしまうのだから、金をかけて改修することもなかったのだろう。
昼前の列車を降りたのは、ほんの2、3人。川原湯温泉という観光地を控えているはずの駅だが、ひっそりして駅前にはタクシーも止まっていなかった。
ドライブでやってきた年配の男女が数人、たまたま駅前の自動販売機で飲み物を買っているのみであった。
まずは撮影場所を探そうと、駅前から西に向かって、長野原草津口駅方面に歩いて行った。
そして、すぐに目に入ったのがこの鉄橋である。
私の乗った列車の直後にやってきたのが、この185系特急「草津」。
並行する道路から安直に写真を撮ることができた。もちろん、雑誌用にも同じ場所で115系電車を撮ることになる。
さらに、西に歩いていくと、道路に沿って渓谷が現れた。吾妻川である。
なかなかいい眺めなのだが、ダムができるとこのあたりも、すべて湖の底になってしまう。
上の写真の中央に見えるのは道路のトンネル。そのやや右上、山の中腹になにやら建物が見えるが、それが前回紹介した川原湯温泉の家並みである。
そのまま歩いて撮影場所を探そうとしたのだが、吾妻線はトンネルに入ってしまい、なかなか顔を見せない。
当日は、35度を越える気温で、これ以上歩くのは危険だと判断した私は、そのまま駅に戻ったのであった。
この写真には、橋が2本写っているが、はるか上を走るのが、開通したばかりの不動大橋。
仮称では湖面2号橋と呼ばれていた橋である。ダムができると、この橋の橋桁近くまで水がたまるはずだ。
もちろん、手前の橋は湖底に沈むのである。
想像しただけで息苦しくなったのは、熱中症の初期症状だけだったのか。
あとは、駅に戻る道々、来る途中に目星をつけておいた場所で電車を撮影。
さらには、駅の反対側にある日本一短い鉄道トンネルである樽沢トンネルまで、最後の力を振り絞って30分ほど歩いたのであった。
帰りの電車は、そろそろ夕方の通勤通学時間にかかってくるからなのだろう、ロングシートの107系がやってきた。
この日の吾妻線をはじめ、首都圏の国鉄色車両を撮った記事は、8月10日に発売された『国鉄色』(COSMIC MOOK 鉄道を撮る)に掲載されています。
« 川原湯温泉----八ツ場ダムの底に沈む温泉 | トップページ | 『歎異抄』(関西弁訳) »
「ニッポンぶらぶら歩き(東京、沖縄以外)」カテゴリの記事
- 高島屋史料館の「ジャッカ・ドフニ」展とゲンダーヌさんの思い出(2024.08.24)
- 夕刻に訪れた伊予長浜 瑞龍寺(2023.08.27)
- 予讃線(海線)に乗って伊予長浜へ(2023.08.14)
- 豪壮な家並みが残る内子の町(2023.08.08)
- 松山市内で乗り物三昧とぶらぶら散歩(2023.08.03)
「鉄道、乗り物」カテゴリの記事
- 夕暮れのロッサーノ・カラブロ(2024.08.26)
- 800体のしゃれこうべが眠る平和な保養地オートラント(2024.05.12)
- 尖塔そびえる静かな田舎町ソレート(2024.04.30)
- 陽光ふりそそぐガッリーポリ(2024.04.29)
- 明るく近代的に変身したバーリ駅(2024.02.13)
コメント