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2011-07-16

「タルクイニアの王」に集う人びと

タルクイニアは、ちょっと変わった形の丘上都市である。
その形は、円柱を斜めにスパッと切ったといえばわかるだろうか。

駅側の南西方向から進んでくると、ゆるやかな坂を描いて、町のある台地に達する。
台地の上もまた坂になっており、500m.ほど進んで町の最高地点に達する。
そこには、ベンチがあって散歩道になっているのだが、その先は断崖になっているのだ。

下の写真は、夕暮のタルクイニア中心部。そして、その下の写真が、断崖の上から見下ろしたラツィオ州の平原である。

夕暮のタルクイニア中心部

そして、その最高点近くに、夕食で訪れた Re Tarquinio (レ・タルクイニオ) という店がある。
タルクイニア王という意味なんだろう。
ちなみに、前日、Hotel Tarconteと迷ったもう一軒の高級ゲストハウスは、Re di Tarquinia (レ・ディ・タルクイニア)。
意味は同じで、どうやら同じオーナーが経営しているらしい。

夕方の散歩の途中で予約。
店を訪れたのは夜8時ごろだった。

ラツィオの平原

店内に入ると、迷路のような通路を歩き、洞窟のような部屋に通された。
いかにも都会人の好きそうなつくりである。
ローマあたりから日帰りで訪れる人もいるのかもしれない。

注文したのは前菜の盛り合わせ、そしてメインの牛肉のタッリャータ(タリアータ)。
メニューには、タッリャータが特別扱いになっていて、値段は14ユーロ。お勧め料理のようである。

ふと右隣のテーブルを見ると、40代後半から50代前半と見える男女。
自然と、二人の会話が耳に入ってくる。
どうやら、太った風采のあがらないおじさんが、これまた太ったおばさん相手に、歯の浮くような愛のせりふを語っているようなのである。
スプマンテで乾杯するときなど、「君の瞳に乾杯」ではないが、そんなようなことを言っていた。

レ・タルクイオの店内

その後も、耳に入ってくるイタリア語を分析したところ、どうも夫婦ではないようである。
「それだったら、もう少しおしゃれをして、外観だけでも色っぽくすればいいのに」
二人はあまりにも普段の格好であった。まあ、人のことはいえないが。
ちなみに、あくまでも私はイタリア語の勉強として、自然と耳に入ってくる彼らの会話を聞いていたのである。

もっとも、そんな隣のテーブルも、食事がくるともう気にならなくなった。
タッリャータは、この4日間で3食目だったのだが、とてもウマかった。火の入れ具合も絶妙で、かんでいると、まるで生肉のようなうまみが、じわりと口のなかに広がる。
あんな良質で分厚い肉を日本で食べたら、かなりの値段になることだろう。

タッリャータ

さて、メインも終わって、デザートを食べていると、今度は正面のテーブルに男性の二人連れがやってきた。こちらは、30代前半という感じである。
で、その二人が仲良く並んで座り、見つめあっているのだ。
まあ、そんな二人はイタリアでは珍しくないのだが。

私にとって、このときのイタリア旅行の最後のディナーである。
そうした記念すべき夜、おしゃれな穴蔵レストランで、右手に不倫カップル、正面に同性愛カップルを見ながら、私は食後のエスプレッソをグイッと空けたのであった。

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イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

あ、そう言われりゃあ、そうですね。
観察が甘かった。
で、普段着のままである点に、萌えたり燃えたりするのかも。

>もう少しおしゃれをして、外観だけでも色っぽくすればいいのに

夫婦で食事に出かけるときは、オシャレしておられるのではないでしょうか。
特別なディナーのときは、普段着のまま出かけませんと・・・。

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