ヴェネツィアのカルネヴァーレ
いつの話かと言われそうだが、今年の2月のことである。
妻の友人がイタリアで結婚するというわけで、なぜか一緒にやってきた義母(もちろん妻の友人とは面識がない)とミラノに数日滞在することとなった。
それは、結婚パーティーでたらふく飲んで食った翌日の日曜日、朝早くのことであった。
ホテルの義母の部屋から、名古屋弁で電話があった。
「いま、ベネチアでカーニバルをやっとるだろ。このチャンスを逃したら、死ぬまで見る機会がないやろう。交通費は出すから案内してちょ」
というわけで、急遽、特急の1等車に乗ってヴェネツィアに行くことになった。
ミラノ中央駅からヴェネツィア・サンタルチア駅までは、2時間半の行程である。
もともと湖水地方に行く予定だったのだが、「この寒いのに行きたくないなあ」と思っていたところなので、内心ホッとしたのも事実である。
だが、ヴェネツィア、日曜日、カルネヴァーレ(カーニバル)と3拍子揃ってしまったものだから、その混雑は行く前から予想されていた。
案の定、駅を出ると、そこは人、人、人。
くらくらと目まいがしそうになった。
まずは、ヴァポレット(水上バス)の1日券を買うために並んでいると、我々の前にいたのが20代前半とおぼしき小柄な日本人女性3人。どうやら、1日券を買うか1回券を買うか迷っているようである。
その会話をちらりと聞いた義母は、いきなり彼女たちに話しかけた。
「ありゃあ、あんたたち名古屋の子だろうか」
これがきっかけであった。
卒業旅行とやらでツアーを利用してイタリアに来た彼女たちは、ローマから日帰りの自由行動でやってきたのであった。
その日は結局、私が5人の女性のツアコンをするハメになった。
まあ、義母の話し相手になってくれたことを考慮に入れると、感謝すべきは私と妻だったのかもしれない。
それにしても、妻や義母と旅行をしていると、いつも名古屋や岐阜の人たちが周囲に集まってくるのは不思議である。
ヴァポレットのサンマルコ広場終点で下車。
そこから広場までは300mほどの道のりで、ふだんなら歩いてすぐなのだが、広場に通じる狭い道は通勤時間の新宿駅もかくやと思うほどの人。
そこを、観光客だけでなく、仮装した地元の人が歩いている。
私は、少しでも早く広場に行こうとするのだが、妻と義母は仮装した人を見るや、一緒に写真を撮ろうとして混雑に拍車をかける。
「ほらほら、あんたたちも一緒に撮ってもらおう」と、三人娘を呼ぶ。
それにしても、彼女たちの求めに合わせてポーズをしてくれるイタリア人のサービス精神には頭が下がる。
私はただ、周囲の人の迷惑を思いやりつつ、落ち着かない気持ちで待つばかりであった。
サンマルコ広場までくるだけでクタクタになった私は、最後の力を振り絞ってリアルト橋まで引率。バールでしばしの休憩を提案するのだった。
下の写真は、売店で義母が買った仮面をつけた私である。
その後に行ったムラーノ島でのウインドウショッピンク。晩飯のレストランを探してさまよったひととき。食事がなかなか出てこなくて三人娘の帰りの列車の時間が迫ってきたこと、帰りの特急が満席なために座席指定なしで乗ったことなど、思い出すだけで疲れてきた……。
名古屋の三人娘、Aさん、Dさん、Oさん元気?
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