« マッサ・マリッティマ、ラークイラ、そして大震災 | トップページ | 本郷・浄心寺の布袋さんと桜 »

2011-04-04

カルペ・ディエム(今日を摘め)

「Carpe Diem」(カルペ・ディエム)というのは、古代ローマの詩人ホラティウスのことばだ。
ラテン語で、Diemは1日、2日というときの「日」の対格(目的語)、Carpeは花を「摘む」というときに使う動詞の命令形である。

まあ、そんな文法的なことはさておき、「その日を摘め」「その日の花を摘め」などと訳されているこのことばは好きである。
「今だけを楽しめばいい」という刹那主義に解されていることもあるが、そうじゃないと思う。

モーデナのカフェ・カルペ・ディエム

過ぎ去った昨日のことを悔やんでは落ち込んでいたり、まだ来ない明日のことを思い悩んではうつうつとしたりしているよりは、今をしっかりと楽しんで生きることは、何よりも大切だ。
なんてことを久しぶりに文学青年気取りで思うのも、震災や原発のことが心の底にわだかまっているからに違いない。

さて、上の写真は、イタリアのモーデナで見た「カフェ・カルペ・ディエム」という名前のバール。撮ったのは震災の2週間ほど前のことである。

モーデナのカフェ・カルペ・ディエム

外から見る限り、そんなインテリ臭い名前とは似つかわしくない、ごく普通のバールである。
ごく普通にショーウィンドーがあって、ごく普通に飲み物の冷蔵庫がある。

「さすがイタリア。さすがモーデナ。こんな店に、こんな名前を付けている」
近くに大学があることも関係しているのかもしれない。
日本でいえば、さしずめ……と書こうとしてキーボードが止まった。思い浮かばない。

「喫茶 生きとし生けるもの」 ちょっとクサいなあ。
「喫茶 諸行無常」 まあまあかな。実際にありそうだし。
「喫茶 野守は見ずや君が袖振る」 個人的には好きだけど。

というわけで、何かいい例があったらコメントしてください。

« マッサ・マリッティマ、ラークイラ、そして大震災 | トップページ | 本郷・浄心寺の布袋さんと桜 »

イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

Shanryさん、こんばんは!
調べてみて初めて知ったのは、「ゴンドラの唄」がロレンツォ・ディ・メディチの詩を下敷きにしているというのは、塩野七生さんの『わが友マキャベッリ』で紹介したのが広まったそうなんですね。
でも、それより先に大学でイタリア語の先生に聞いた覚えがあります。まあ、その筋には知られていた話なのかもしれません。

もっとも、作詞家の吉井勇氏は、森鴎外訳の『即興詩人』をヒントにしたと明言しているようですね。
ここに詳しい研究があります。
 ↓
http://www-h.yamagata-u.ac.jp/~aizawa/mat/gondora-no_uta.pdf

とはいえ、『即興詩人』の原作者であるアンデルセンが、ロレンツォ・ディ・メディチの詩を耳にしていたのではないかという説も出てきたりして、はたして真実はどこにあるのか。

ま、いずれにしても、詩の発想自体はそう突飛なものじゃないので、たまたまロレンツォ・ディ・メディチとゴンドラの唄が似ているからといって、いきなり元歌とするのはかなり強引な説だと個人的には思っています。

「いのち短し恋せよ乙女」
いい歌ですよねぇ~。
ロレンツォ・ディ・メディチの説しか知りませんでした・・・
駄菓子さん、最近の説を教えてください。

アマレットさん、あの映画のラストは本当に印象的でした。
BA機内で見て泣いて、日本の映画館で見て、また泣いた私はむっちゃ単純。

ikeさん、歌声喫茶って・・・
うちの近所に、今でもありますが・・・昭和の香りだぁ~

アマレットさん、お帰りなさい!
ボローニャ駅ホームの例の不思議なバールに、私も今回行ってきました。
グラスワイン3.5ユーロ也でした。

なるほど、「喫茶 ゴンドラの唄」はいいかも。哲学っぽい内容でもあるし。
「生きる」は学生のときに観たかな。モノクロの濃い色が印象的でした。
もちろん志村喬の存在感と演技も。
あの歌はロレンツォ・ディ・メディチの「バッカスとアリアドネの凱旋」の翻案したものだというのが以前の定説になっていましたが、なんか最近の研究では違うみたいですね。

ikeさん、こんばんは
「歌声喫茶 千の風になって」かあ。
でも、古典じゃないから勝手に使えないかもしれませんね。
ところで、花粉とウランのイエローケーキとウコンの粉は似ている。

ロビン・ウィリアムズが主演した「いまを生きる」。生徒たちが次々に「Carpe Diem!」と叫んで机の上に乗るシーンが印象的でした。
日本でいえば?「喫茶 ゴンドラの唄」ってのはいかが。

「いのち短し 恋せよ乙女」、志村喬さんが「生きる」でブランコこぎながら歌ってたあの歌ですが、花を摘む、ってニュアンスに近い感じでは。

あ、ボローニャから無事帰ってきました。このブログで以前教えてもらったボローニャ駅の爆破現場も見てきました。社会科見学みたいな子供の集団を連れた先生が、「日本人も巻き添えになって」みたいなことをちゃんと教えてましたよ。

カラオケスナックとか歌声喫茶ならいろいろ思い浮かぶのですが。

「歌声喫茶 千の風になって」
「スナック 幸せなら手をたたこう

すいません、花粉の嵐が去ったらまた出直してきます。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« マッサ・マリッティマ、ラークイラ、そして大震災 | トップページ | 本郷・浄心寺の布袋さんと桜 »

著書

  • 辞書には載っていない⁉ 日本語[ペンネーム](青春出版社)
  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
無料ブログはココログ

.