イタリアのターミナル駅で印象的なところはと聞かれて、ローマ・テルミニ駅とミラノ中央駅を挙げる人は多いだろう。
もちろん、ナポリ中央駅、ジェノバ・ブリーニョレ駅など、名高い駅はいくつもあるけれど、この2つはやっぱり別格である。
ミラノ中央駅は、空港からのバスも発着するので、北部を巡るときはいつも利用しているのだが、ずっと工事中だったこともあって、腰を据えて眺めてみたことがなかった。

そこで、今回は改めてじっくりと見てみようと思ったわけである。
上の写真が駅の正面。
ちなみに、右の男性はわざと入れたんだよ。
だって、この人が入っていなければ、平凡な写真になってしまうでしょ。

そして、これが玄関を入ったところの入口。
重々しいこと限りない。
でも、改装とともに壁の汚れが落とされ、照明も明るくなった(たぶん)なので、ずいぶんイメージが変わった。
以前にくらべて売店も増えて、列車待ちの時間が少しは退屈でなくなった。
そして、欧米の鉄道では当たり前なのだが、ホームには自由に出入りできる。
改札がないのだ。
10年ほど前に行ったときは、警備のためか、ホームに出るあたりに係員が立っていて、切符を持っているかどうかチェックをしていたが、それもなくなったようだ。

そして今回見つけた鉄道ファンのための絶好のアングルがこの写真。
ホームを見渡せる2階の部分にバール(喫茶店)ができて、ゆったりと座ってコーヒーや軽食をとりながら、列車を眺めることができるのだ!
まさに、鉄道ファンのための特等席である。

もっとも、この国にはそれほど鉄道好きは多くないようで、カメラを持って撮りまくっている人はほとんど見ない。
このときは、私の前に1人だけ、旅行者らしき男性が撮っているのを見ただけだった。
それにしても、改装によって自然光が以前よりもうまく取り入れられ、ドーム構造の駅はいっそう見栄えがするようになった。

バールはこんな感じ。
町のバールにくらべて割高なのは仕方がないが、この眺望を考えればけっして高くない。
仕切りは透明なアクリルの板なので、すっきりと駅が一望できる。
しかも、この仕切りは1メートル50センチくらいの高さなので、カメラをそのうえから出して撮ることができる。
ただ、前にも書いたことがあるが、イタリアでは勝手に列車や駅の写真を撮ってはいけないという法律がある。
にもかかわらず、なぜか鉄道の雑誌も何誌か発行されているので、法律は有名無実である。たぶん。

そして、最後の写真は今から25年前、1985年のミラノ中央駅。上の写真とは反対向きに、ホームから出入口方向を撮ったものだ。
ミラノ中央駅を舞台にした映画といえば思い出すのが、ヴィットリオ・デ・シーカの「ひまわり」。マルチェッロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンの別れの場面に二度登場する。
最初はマルチェッロ・マストロヤンニの出征、もう一回は最後の別離の場面である。
ああ、思い出したら、目の裏が湿っぽくなってきた。
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