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2011-03-08

時代の重みを感じるタルクイニア

帰国前夜の宿は、ローマから北西50kmほどのところに位置する丘上都市タルクイニア(Tarquinia)に決めた。
翌日ローマ空港15時発の飛行機に乗るには、なるべくローマ周辺にいることが理想的だが、ローマ市内に泊まるのでは、いま一つおもしろくない。
まあ、ここまで来れば、交通機関にちょっとしたトラブルがあっても、翌日ローマ空港15時発の飛行機に乗り遅れることはないだろうという考えである。

タルクイニア遠景

グロッセート駅を昼前に出発して、タルクイニア駅に到着したのは午後も早い時間。
ところが、雨は降りやむどころかいっそう強くなるばかりだった。
タルクイニア駅前には人家もまばらで、降車客のほとんどは駅前に停めてある自家用車かバスに乗って、丘上にある町、あるいは丘下のニュータウンに向かうのである。

タルクイニアのアクセントは「クイ」のところにあるので、「タルクイーニャ」と表記するのがいいのかもしれないが、実際にはそんなに長音を伸ばしていなかったので、タルクイニアでいいかなという感じである。

それはさておき、ここは、オルヴィエートなどと同じく、エトルリア人が建てた町で、古い歴史が重層的に残されている。

タルクイニア旧市街入口

世界遺産に指定されているのは、紀元前11世紀ごろとされる遺跡「ネクローポリ」だが、雨が強くてとても行く気にはなれなかった。
もっとも、そんなところまで行かなくても、町を歩いているだけで、独特の町の雰囲気が味わえる。

なかでも、町の一角にある、いわゆる「中世の街角」にはびっくり。これまでイタリアで見たどの町よりも、古い雰囲気の町並みが延々と続き、しかもきちんと人が住んでいるのである。
そして、50mも歩くごとに塔が建ってるというのは、あのサン・ジミニャーノ並みである。

もっとも、本当に中世のままなのかどうかは、私が生まれる前のことだし、しかも異国のことなのでよくわからない。

タルクイニアの「中世の街角」

いずれにしても、もっとこの町が有名になってもいいのではないかと思ったが、まあ知る人ぞ知る町であるほうがいいのかもしれない。

建物に使われている石の材質の問題なのか、それとも車の排気ガスが原因なのか、家々の壁の色が暗く沈んでいるのは、折からの雨と相まって、旅人の心をひどくセンチメンタルにさせてくれた。

タルクイニアの「中世の街角」

でも、そんな心をホットにしてくれたのは、これまでに味わったことのないほど美味な(少なくとも私が支払える値段のレベルでは)牛肉のタッリャータであった。
それを供してくれた不思議な穴蔵レストランについては、時間の止まったような宿とともに、また改めて紹介することにしよう。

結局、時間の止まったような宿では部屋からインターネット接続ができず、しかも帰国直後は風邪で寝込んでしまったため、更新が遅くなってしまったことをおわびしたい。
それでは、ハイライト編もお楽しみに。

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イタリアの旅 北から南まで」カテゴリの記事

コメント

ジョバさん、こんにちは
風邪はなんとか治りましたが、花粉はいよいよ本格的です。
願わくは、この花粉に高濃度の放射性物質がくっつかないように。

さて、最終日は交通の便を考えてチヴィタヴェッキアに泊まろうかとも迷ったのですが、結局丘上都市の魅力に抗しきれずにタルクイニアにしました。

駄菓子さんこんにちは!ご無沙汰してます。
ご無事なようで何よりです!
いろいろ不自由な事も多いかと思いますが、がんばってください!
風邪&花粉症ってのは想像するだけで大変そうだから
風邪だけでも早く直してくださいね

さて…いつも (私好みの(笑) ステキな街を紹介されてますが
このタルクイニアもとっても雰囲気があってよい街ですね
気になって早速地図を見てみたところ。。。。
「!」チヴィタヴェッキアのそばなんですね
行き損ねた怪獣庭園ボマルツォに行く時に、是非寄ってみたいと思いましたvv

ヨーコさん、こんにちは。
800円でこの町を1日漫遊とはすごいですね。
ローマから日帰りもできるので、ぜひリベンジしてみてください。

このときの寒い風雨で悪化した風邪から、まだ抜け出ていません(涙)

私がこの町を訪問した目的は、古代エトルリア人の墓室墓を見学するためでした。
出発したのはナポリ、所持金がたった800円(トラブルのため)という非常に心細い状態のなか、この町に到着しました。
色んな“奇跡?”が生まれ、この所持金で以下のことがまかなえました。
・駅から考古学博物館(中心部)までの往復。
・考古学博物館の入館料
・墓室墓入場料
・昼食代金
幸い、ナポリまでの帰りの切符は購入済みでしたが(大汗)

今回、駄菓子さんの旅記を読ませていただき、いつかリベンジ(再訪)したい思いです。
金銭的余裕が無いなか、町をゆっくりと散策する時間と余裕が無かったですね。
こんなに魅力的な町並みだったのですね。

paceさん、こんにちは
風邪と花粉症が渾然一体となって、かなり参っています (^^;;
トスカーナやウンブリアの町に似ていますね。でも、狭い路地の両側にやたらに塔が建っていたり、普通の家のような教会があったり、邸宅の中を小さなトンネルが貫通していてそこから自動車が飛び出してきたりと、かなり異次元体験ができました(笑)
カフェの値段は、90チェンテージミが多かったかな。まだ、60というところもあったような。都会になると1ユーロという店もありました。
ただ、空港は別として1ユーロを超えるところは、私が入ったところではなかったように思います。1ユーロの壁は大きいですよね。

タルクイニア・・・行ったことがないのに聞きおぼえがある、と思ったら3年ほど前にラジオイタリア語に出てきましたね。(今、再放送しているみたいですが、最近はすっかりご無沙汰です f^_^;  )
下の2枚の写真は、まるでトスカーナの1都市に迷い込んだような雰囲気ですね。やはりエトルリア人の建てた街だからでしょうか。
駄菓子さん、もう風邪はすっかり良くなられましたか?お大事に!
ハイライト編、楽しみにしています。それから、バールでのカフェの値段も気になっています。まだ1ユーロは超えていないですよね。(~_~;)

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著書

  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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