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2010-06-15

石の鐘: 長野県信濃町 称名寺

5月の連休前、仕事で訪れたのが長野県の北端にある信濃町である。
黒姫山、斑尾山などの北信五岳を望み、野尻湖を擁する素敵な保養地である。
まあ、あくまでも仕事で行ったのだが、それでもいい気持ちであった。

石の鐘

そんな信濃町の柴津地区にある寺が称名寺。
遠目に雰囲気のよさそうな寺だということで、同行の人たちと足を向けたのだが、そこには大きなドラマが待っていた。

境内には鐘つき堂があるのだが、そこにぶら下がっているのは鐘ではない。
なんと大きな石なのである。
石だから、ついても音がでない。

では、なぜそんな石が鐘の代わりに下がっているのかというと……。

称名寺

さきの戦争のことである。
武器、弾薬をつくるために、全国から金属が供出されたのはご承知の通りである。
それは寺も例外ではなかった。全国の寺から鐘が供出されたのである。

この称名寺の場合、鐘を取り外してしまうと鐘つき堂全体のバランスが悪くなり、倒壊する恐れがあるということで、重しになる石をぶら下げたのだとか。

称名寺

戦後、経済が復興すると、各地の寺では鐘を鋳造しなおして、復活させたところが多い。
だが、ここ信濃町では経済的に豊かでなかったため、石のままにしておいたそうな。

それが、ここにきて、徐々に注目を集めるようになったのだから、おもしろいものである。
戦争の悲劇を繰り返さないという心を込め、町のシンボルとして、今後もこのままにしておきたいとは町の観光課の人の言である。

ちょっとした寄り道での、素敵な発見であった。
次回は、ぜひ寺の境内にある枝垂れ桜が満開のときに訪れたいものである。

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ニッポンぶらぶら歩き(東京、沖縄以外)」カテゴリの記事

コメント

Takeさん、それは奇遇でした!
ぜひ、いらっしゃってください。夏は緑が目に染みることでしょう。
ここに行けば、だれでもいい写真が撮れますので、ご心配なく。

ご無沙汰しています。
町の風景の写真は、何日かに一度ROMしていたんですが、この写真は見逃していました。
そしてびっくりです!!
別のルートで、この鐘の話を聞き(DVDを買い)、8月23日~の夏休みに行こうと思って、検索していてたどり着きました。
皆さん絶賛していますように、本当に3枚ともすばらしい。構図参考にさせてもらいます。

へえ、東京タワーはそうなんですか。
スカイツリーの鉄もまわりまわって、イラク戦争とか北京オリンピックの残骸とも関係あったりして。

アハハ…まさに。

戦時中の供出は、神通力を期待して、特にお寺の鐘が狙われたみたいですね。

仏教は殺生を禁じてるってのに。

東京タワーは朝鮮戦争の時の米軍戦車の残骸から造られたらしいけど、スカイツリーは何から造ってるのかなぁ。カン、ビンのリサイクルで造りました、とか言って欲しいね。

確かに、トタンに変えたのは、鐘が供出された後でしょうからね。
そんなこともあるのかなあ。
屋根を変えたトタンに音が変わるんでしょうか。

本堂は新しくても、鐘楼だけは茅葺き、という寺が多いので、多分、鐘の響きに関係するのだろう、と思っていたけれど、確証のないままでした。

初めて見るトタン屋根の鐘楼。鳴らさないなら、何でも構わないのね。やはり、鐘楼の屋根を茅葺きにするのは、鐘の音色を変えない為なのか、と一人で納得。

minaさん、こんにちは。
いい場所でした。
これで、トタン屋根が赤じゃなくて、せめて茶色だといいんですけどね。

わあ・・・素晴らしい所ですね!

こういう場所に身を置きたいです。
駄菓子さんの写真もやっぱりいいですねえ・・・

自慢じゃないんですが……って、自慢ですけど、私がなかば強引に同行の人たちを連れて行ったんです。大正解でした。
ぜひ、ikeさんもどうぞ。
この地区で会う老人、会う老人が、みんなたくまざるユーモアを持ち合わせていたのが印象的でした。このお寺のおばあさまにもぜひ会ってくださいね。
今年は5月の連休が花盛りだったという知らせが入りました。
この写真が4月20日ですので、ホントにそんな急に咲いたのかと、ちょっと不審ですが。

名人ともなると、遠目に見ただけで、何かと嗅覚とか勘が働くのですね。

ここの枝垂れが咲くのは5月の中旬頃になるのでしょうか。寺に枝垂れ、墓場に枝垂れという風景が、私は好きです。今年の春は安曇野を中心に、数々の枝垂れ桜咲く墓場をまわりました。
来年のツーリングの目標地点にさせていただきます。貴重な情報ありがとうございました。

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著書

  • 社会人に絶対必要な語彙力が身につく本[ペンネーム](だいわ文庫)
  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
  • 『日本懐かし駅舎大全』(辰巳出版)
  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
  • 『国鉄風景の30年―写真で比べる昭和と今』(技報堂出版)
  • 『全国フシギ乗り物ツアー』(山海堂)
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