新潟青山:住宅地の中を行く廃線跡
青山地区をぶらぶらして、さらに坂を降りていくと、行く手に橋が見えてきた。信濃川から分かれた関屋分水路にかかる有明大橋である。
まだ時間があるから、橋の上まで行って戻ってこようかと思い、ふと右手を見ると鉄橋がある。
道路をオーバークロスしていて、見るからに鉄道のものである。だが、架線が張っていない。
「おや? このあたりは越後線も信越本線も電化されているはずだけど、こりゃ何だ?」
不思議に思って並行する道路をのぼっていくと、そこには線路の跡があった。レールはないけれど、砂利と雑草だらけの様子は、まぎれもなく廃線跡である。
「あ、新潟交通かぁ!」
ようやくわかった。

新潟交通には、まだ廃線になる前、1976年と1983年に訪れたことがある。
もっとも、両端の区間を少し乗っただけなので、あまり記憶がないのだが、いちおう本館の ここ にそのときの写真が収録してある。
断っておくが、けっして私は廃線ファンではない。
だけど、廃止後10年がたっているのに、鉄橋も築堤もそのままの様子に感動して、線路に沿ってしばし歩いたのであった。架線がないのは非電化路線だったのではなくて、廃止後に架線や電柱を撤去したからだとわかった。
築堤はしだいに高度を下げて、廃線跡はやがて道路と同じ平面に降りてきた。

町中の住宅地のまんなかを廃線跡が突っ切っていくのは、ちょっと不思議な感じである。
田舎だったらともかく、いやしくも新潟市は政令指定都市だ。
「ずいぶんもったいない土地の使い方……っていうか放置のしかただよなあ」
そうも思ったが、これを全部整備するのも莫大な金がかかるに違いない。まだしばらくはこのまま残るのだろうか。
仕事がなければ、線路に沿ってずっと歩いていきたかったが、残念ながら約束の時間が近づいていた。
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