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2009-10-17

ネコにひかれて名寄めぐり

 名寄市の中心地は碁盤の目状に整然と町並みがつくられ、アーケードのもとに商店街が形作られていた。
 最近になって建て直されたところも多いようで、無責任な旅人の目からすると、いま一つおもしろみに欠けるなあ……なんて思っていたら、視界の隅でネコらしき物体が動いた。

名寄のネコ

 ネコの後を追って速やかに、しかし脅かさないように抜き足差し足で進む私。ネコが姿を隠した路地を覗き込むと、相手もこちらをじっと見ている。ひととき、ネコと私のにらみ合いがつづいた。

091017b

 が、やがて飽きたのか、ネコは視線をそらして、さらに前進。

 居酒屋スナック(?)「赤とんぼ」の前で、しばしたたずんでいたが、すたすたと去っていってしまった。

 だが、私はこのネコに感謝をしなければならない。あたりを見回すと、じつに味わい深い建物が取り巻いていたことに気づいたのであった。

 下の写真で左側に立ち並んでいる建物は、昔からの商店だったのだろうか。今では飲み屋ばかりとなっているが、かつてはこのあたりが繁華街だったのか。
 そして何よりも右側の建物が趣深い。いかにも寒冷地らしい角度のきつい屋根。2段構えになっている屋根がおもしろい。開拓時代とはいわないが、かなりの年季ものである。

名寄の飲み屋街

 どうやら、うなぎの寝床のような構造になっているらしく、中央下が通路になって向こう側の通りに通じていた。そして、不思議な細い煙突らしきものが2本。妻面には不思議な切り貼り文字の跡が見えた。

ビリヤード場跡    ビリヤード場跡

 「ビ……場」--私の明晰な頭脳は、約0.5秒でここに「ビリヤード場」があったのだと確信した。
 それにしても、「ビ」と「場」の間に、居酒屋の看板を突きたてているのが大胆である。思わず、我が眉間にひりりと痛みを感じてしまった。

名寄の飲み屋

 このあたりは今でも歓楽街のようで、夜になると賑わうのだろう。かつては、人の行き来も活発で、このあたりで遊んだ人も多かったに違いない。
 この写真の店は、なんと煉瓦づくりの建物の上に、屋根と入口を建て増しして今の姿になっている。

名寄の飲み屋

 「看板建築」というのは、日本風の民家の正面を、まるで看板のような平面にして銅板やモルタルで覆ったものだが、これはなんと表現したらよいのか。
 「看板プラス屋根建築」あるいは「頭隠して尻隠さず建築」である。

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コメント

ikeさん、通路を通り抜けようと思ったんですが、まだ午前中なので店も開いてなくてただ暗いだけなのでやめました。1軒だけ人がいて準備をしていたような。
「リ」の字の片割れが残っているので、その文字間隔を考えると「ビリヤード・卓球場」は入りきらないようです。
でも逆に、「ビリヤード場」だとちょっと間のびするんですよね。
さて、事実は如何に。

Pentaさん、そう「なよろ」なんです。
国鉄時代、名寄本線や深名線が走っていたころは、関係者の家族が住んでいて栄えていたそうです。
でも、今も大学があるんですね。人口は3万人ちょっとですか。
「もち米の名寄」というのは、そういえば、どこかに書いてありました。

猫に道案内してもらえるとは、さすが駄菓子さん。

それにしても、その煙突付きの建物にはとても惹かれます。
真ん中を通路にしてあるということは、その両側にいくつもの飲み屋があるのでしょうか。はしご酒が楽にできそうです。

ところで、「ビリヤード・卓球場」という推理はいかが?

名寄と書いて「なよろ」と言うんですね。
今まで「なより」と読んでいました。

ネコが登場しましたね。(笑)
多分、飼い猫でしょうね。

名寄はWikipediaで調べたら大学もあったり、もち米の生産が日本一だそうですね。

リンクはライブカメラが見られるのを見つけました。

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  • 『ようこそシベリア鉄道へ』(天夢人)
  • 『定点写真でめぐる東京と日本の町並み』(青春出版社)
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  • 『鉄道黄金時代 1970s──ディスカバージャパン・メモリーズ』(日経BP社)
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